◆天皇賞・春追い切り(26日・美浦トレセン)
第167回天皇賞・春(30日、京都)の出走予定馬17頭が26日、東西トレセンで最終追い切りを完了した。昨年王者のタイトルホルダーは美浦・Wコースで主戦の横山和がコンタクト。史上4頭目となる異なる2競馬場での同一G1連覇へ、栗田調教師ともども絶対的な自信をにじませた。
連覇への道筋は、澄み渡るほどにクリアだ。タイトルホルダーは横山和を背に、小雨の美浦・Wコースを疾走。僚馬マンスール(3歳未勝利)を3馬身半追走し、馬なりで併入に持ち込んだ。タイムは6ハロン82秒7―12秒1と目立たないが、前進気勢に満ちた走りに、王者の威厳があふれ出る。「動き過ぎないようにセーブする感じでしたが、道中の雰囲気も先週より良くなっているし、順調にきてくれました」と鞍上。静かに、だが力強く自信をにじませた。
昨年秋は凱旋門賞11着、有馬記念9着とまさかの大敗。だからこそ、栗田調教師は「今年こそは、という気持ちで」と、並々ならぬ決意で復活への歩みを進めてきた。その努力が実を結び、始動戦の日経賞は8馬身差の圧勝。鞍上が「スタートしての1完歩がいつもの様子に戻って安心しました。大きな1勝です」と振り返るように、周囲の不安を一蹴する完璧な走りだった。
単なる復活ではない。トレーナーが「昨年の日経賞は状態も悪く素質だけで勝ったレースでした。でも、今年は体自体がいいし、使ってもくろみ通り馬が良くなっていますね」とみるように、5歳となった今がまさに充実期。昨年よりもさらに一段階、パワーアップしたと言っていいだろう。
JRAの同一G1を異なるコースで2勝した馬は4頭だけ。うち連覇は3頭で、春の盾では一度も成し遂げられていない。2年半の改修期間があった京都は出走自体が初めてのタイトルホルダーだが、「新しい京都を走るのはどの馬も同じで、そういう課題をクリアしてくれる馬だと思っています」(栗田師)、「みんなが初めての舞台。そこを乗り越えた馬が勝つと思うし、乗り越えてくれると思う」(横山和)と陣営の信頼度は絶対的。勝つだけだ。(角田 晨)