◆第149回ケンタッキーダービー・米G1(5月7日、チャーチルダウンズ・ダート2000メートル)
夢見た2分間が、いよいよ現実になりつつある。坂井がコンティノアールとのコンビでケンタッキーダービーに挑む。日本人では武豊以来2人目で最年少。「まだ実感も湧かないぐらいすごいレース。ゲームの世界だよ」と胸を躍らせる。
同週のNHKマイルCなどで先約があったが、関係者の配慮で挑戦が実現した。「色んな人のおかげで乗れることになったのが、まずすごくうれしい」。“最も偉大な2分間”と称されるだけあり、周囲の反応も格別。「(川田)将雅さんにも『いいな』って言われる。注目度が違う」とその重みをかみしめている。
米国競馬への関心はデビュー時からで「アメリカンスタイルを生で見て、肌で感じたいと思っていた」。18年秋、豪州で1年間の武者修行を終えた後、自主的に渡米。殿堂入りしているW・モット調教師のもとに滞在した。
期間はたった1週間で、乗るのは調教のみ。それでも刺激に満ちた日々だった。例えば追い切り。日本は5ハロン65秒前後が標準だが、W・モット師は最初の1ハロンを12秒台で入り、5ハロン60秒で終えるよう指示。現地でレースを観戦した際も「テンからめちゃくちゃ速い」と圧倒されたが、同時に「いつか(米国で)乗れたらいいな」と目標が生まれた。
コンティノアールにとってもハイペースへの対応が課題。「このあいだ結構出してスピードに乗せて行ったから、それがつながれば」と、UAEダービー(3着)での経験に期待を込める。前回の米国滞在から約5年がたち、自身も若手のトップ格に登り詰めた。「本当にすごい。楽しみだな」と何度も繰り返した坂井。一回りも二回りも成長した姿で、夢をかなえに行く。(水納 愛美)