【日本ダービー】ソールオリエンスの「我が家」山元トレーニングセンターは名馬への「虎の穴」

ソールオリエンスなどを担当する山元トレセンのスタッフ(提供写真)
ソールオリエンスなどを担当する山元トレセンのスタッフ(提供写真)
宮城・山元トレセンの坂路は最大勾配9%。栗東・坂路の最大勾配4.5%を大きく上回る(提供写真)
宮城・山元トレセンの坂路は最大勾配9%。栗東・坂路の最大勾配4.5%を大きく上回る(提供写真)

◆第90回日本ダービー・G1(5月28日、東京競馬場・芝2400メートル)

 日本ダービー(28日、東京)で2冠を目指す皐月賞馬ソールオリエンスを生産した社台ファームは、近年めざましい活躍を見せている。昨年は約4年ぶりのG1制覇を成し遂げると、14年以来となる重賞14勝を達成。今年もすでにG1・2つを含む7勝を挙げている。破竹の勢いを支えるのが、宮城県山元町に構える育成・調教施設の山元トレーニングセンターだ。上水(うえみず)司場長(48)にインタビューし、その躍進の秘密を2回に分けて探っていく。(角田 晨)

  東京ドーム約9個分となる43ヘクタールの広大な敷地に約300馬房を持つ山元トレーニングセンター。03年のダービー馬ネオユニヴァースやダイワメジャーなど数々のG1馬を育成してきた、社台ファームの屋台骨を支える施設だ。ソールオリエンスにとっても2歳の8月から育成を施され、レース後には休養に戻る“我が家”のような場所だ。

 その主な役割を、上水場長は「ひと言でいえばリフレッシュケアと乗り込みです」と説明する。20年6月に全長900メートル、最大勾配9%、素材もウッドチップへと改修された坂路の存在が大きい。「やっぱり、いい負荷がかかるようになっていますね」と、今まで以上に能力を引き出せる設備へと変貌(へんぼう)を遂げた。

 しかし、「それだけでは、(勝利以外も含め)結果は出ないんですよね」と場長。山元を含む社台ファームの強みは、人にあると言う。「毎週60頭くらい馬を入れ替えている経験が蓄積されて、人が育ってきています。みんな自主的に考えて行動するように変わってきていますね」。まさに、エキスパート集団と言ったところだろう。スピーディーな情報共有も肝だ。「調教の細かいデータや、疾患など全体で共有しています。共有メールでどんどん送られてくるので、こっちも必死ですよ」。ワンチームとして、目的へ向かってまい進しているようだ。

 7日のNHKマイルCも育成馬のシャンパンカラーが制覇。好調ぶりに現場も明るい。「インド人もフィリピン人もいるけど、みんな『おめでとう』って言い合っていい雰囲気ですよ」と場長。確かな充実感によってさらに結果の出る好循環が、ダービーへ向けても大きなプラスとなっている。(続く)

 ◆山元トレーニングセンター 宮城県山元町にある社台グループ傘下の競走馬トレーニング施設。92年に開設され、休養馬の調整やデビュー前の馬の育成などを行う。274頭が収容可能で、坂路だけでなく全長1100メートルの周回コースなど、全国屈指の設備をそろえる。主な育成馬はネオユニヴァース、ダイワメジャー、ヴィクトワールピサ、ゼンノロブロイなど

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