【日本ダービー】前代未聞のステップ、ドゥラエレーデ 坂井瑠星騎手「データを覆す何かを持っている可能性がある」

異例のローテーションで臨むドゥラエレーデと、初制覇に燃える坂井
異例のローテーションで臨むドゥラエレーデと、初制覇に燃える坂井

◆第90回日本ダービー・G1(5月28日、東京競馬場・芝2400メートル)

 第90回日本ダービー(28日、東京)は、前代未聞のステップから2歳G1覇者、ドゥラエレーデが参戦。手綱を執る坂井瑠星騎手(25)=栗東・矢作厩舎=は今年3度目の“ダービー”で初制覇を目指す。

 あのときよりも、覚悟は強い。坂井が20年以来2度目の日本ダービーに挑む。「乗りたいレースから勝ちたいレースになった。1回目は『え、ほんとに乗れるの』って感じ。今はもう、『乗れる。よし、勝ちたい』って」。3年の時を経て、思いは熱くなるばかりだ。

 ダービーは「一番特別なレース。夢だし、ジョッキーになったからには一番勝ちたい」。昨年の秋華賞でJRA・G1を初制覇し、ここまですでに3勝を挙げた。「ダービージョッキーって言われるのはダービーだけ。秋華賞ジョッキーとか言われたことない」。若手のエースになっても、その位置付けは変わらない。

 今年はサウジダービー、UAEダービーに参戦。ケンタッキーダービーは騎乗予定だったコンティノアールが出走取消になったが、“4か国ダービー騎乗”のチャンスがあった。「色んな国を見てきたからこそダービーは特別。その国その国のダービーがあるけど、やっぱりどの国でも特別なレース」。競馬の祭典への憧れは万国共通。何度も海を渡ったことで、一層強く実感した。

 自厩舎のサトノインプレッサと臨んだ20年、主役は同厩で後に3冠馬となるコントレイルだった。くしくも、当日は23歳の誕生日。「楽しみしかなくて。(コントレイルが)特別な馬ってのは分かってたけど、(自分の)枠(1番)も良かったし、もちろん一発狙ってやろうと思って乗ってた」。思惑通り、9番人気で4着と大健闘した。しかし「今だったらもうちょっとうまく乗れたかな。3年間ですごい経験させてもらったから」。そう言い切れるのは、自らの成長の証しだ。

 今回は、昨年のホープフルSを14番人気で制したドゥラエレーデと初コンビで挑む。10、17日の追い切りにまたがり、「何回も一緒にレース出てるし、そのイメージ通りの馬。やっぱりダートも走るだけあってパワーもあるし、全体的な能力は高い」と好感触をつかんだ。ダートで勝ち上がり、芝での初勝利がG1。さらにUAEダービー(2着)からの臨戦で、異端児とも言える一頭だ。「データを覆す何かを持っている可能性がある。人気になる馬たちと戦ってないから、どうなるか分からない」。再度の大仕事も不可能ではない。

 思い出深いダービーの一つが、競馬学校生だった15年。自厩舎のリアルスティールの本馬場入場までついていった。「そのとき、ほんっと鳥肌立って。スタンドの景色が圧巻で」。20年はコロナ禍で無観客だったため、大観衆の中での騎乗は今年が初めて。「ふわふわしていたダービーってのが、当時より少しは近付いたかな。(歓声を)自分がどう感じるのか楽しみ」。地鳴りのような声援を背に、夢へと突き進む。(水納 愛美)

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