【安田記念】ジャックドールが過去3頭だけの2000→1600メートル芝G1連勝へ 武豊騎手は手応え十分

初のマイル挑戦にも武豊、藤岡調教師が手応えを示すジャックドール
初のマイル挑戦にも武豊、藤岡調教師が手応えを示すジャックドール

◆第73回安田記念・G1(6月4日、東京競馬場・芝1600メートル)

 G1ホース10頭が集まる春のマイル王決定戦、第73回安田記念(6月4日、東京)で注目を集めるのがジャックドール。今年の大阪杯を制しての参戦だが、マイル戦は初めてで、過去に2000メートル→1600メートルの芝G1を連勝した馬は3頭しかいない。しかし、主戦の武豊と管理する藤岡調教師は手応え十分。両者を取材した水納愛美記者がその可能性を「占う」。

 G1馬10頭が集結した、豪華すぎる安田記念。メンバーの中でマイルが未経験なのはジャックドールだけだ。しかも、全14戦がすべて2000メートル。しかし、陣営からも鞍上からも不安は聞こえない。それどころか、ともに最高のイメージを描いているようにさえ感じられる。

 藤岡調教師はデビュー前からマイル適性を感じていた。しかし、クラシックも見据えていたデビュー当初は「できれば長いところを使って、上で(短縮する)」という方針で育成。選択は正解だった。3歳秋から翌年の金鯱賞まで5連勝。今年は大阪杯でついにG1ホースになった。「G1を勝っていなくて(マイルに)いくのは、思っていても難しいところがある。勝てたのが一番」。2000メートルにこだわったからこそ、新たな挑戦へのベストなタイミングが訪れた。

 実は大阪杯の翌週、武豊からも「安田記念とかいいと思うけどな…」と聞いていた。藤岡師から次走を切り出された際も「安田って言ってくれりゃいいな」と願ったという。両者の意志が完全一致しての参戦だ。そして、笑顔でこう口にする。「いつも通過してる距離やからね。初距離じゃない」。ただのジョークではない。「(東京のマイルは)2000メートルぐらい走れる馬じゃないと勝てない。スピードの持久力が求められる。2000メートルをこなせるのは乗るうえで心強い」。2ハロン長い距離での実績が、ここでこそ生きると指摘する。

 2000メートルでの持ち時計は昨年の金鯱賞での1分57秒2。当時は馬なりで1600メートルを1分33秒6で通過した。例年、安田記念はさらに速い決着になるが、藤岡師は「何も追わずに(1分)33秒6でいける馬は、あと2秒絶対縮まる。どこで上げていくか」とマイルのペースへの対応にも力強い。

 マイルでも逃げますか? という質問を両者にぶつけた。トレーナーは「自分のリズムで行ければ勝負になる。他が行こうが自分がハナに行こうが」。鞍上は「自分のペースで行けばいいかな。位置はどこでもいい」。レース選択、距離適性に関する時のように、示し合わせたような同じ答え。こんなに心強いタッグはない。マイルのスペシャリストとも張り合えると確信した。(水納 愛美)

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