【クイーンS】古川奈穂騎手がグランスラムアスクで重賞初騎乗「特別戦を初めて勝ったのも、けがから復帰後に最初に勝ったのもこの子ですから」

コンビで3勝と好相性のグランスラムアスクと古川奈
コンビで3勝と好相性のグランスラムアスクと古川奈

◆第71回クイーンS・G3(7月30日、札幌競馬場・芝1800メートル)

 今週は新潟が開幕し、札幌との変則2場開催。第71回クイーンS・G3(30日、札幌)で古川奈穂騎手(22)=栗東・矢作厩舎=が重賞初騎乗する。3年目での初舞台へグンと力を付けて挑む。

 着実に力を付けて初舞台にたどり着いた。グランスラムアスクでクイーンSに臨む古川奈。JRA所属で現役女性4人目の重賞挑戦で、勝てば昨年CBC賞の今村以来、同3人目となる。「まだ(私自身に)見合う実力があるとは思いませんが、大きな挑戦をさせてもらうからには、自信を持って乗りたいです」と力を込めた。

 3年目にめざましい進化を遂げた。今年は13勝と既に昨年の10勝を上回り、勝率7・6%、連対率16・3%とも過去最高。「以前はレース前に硬くなっていたんですけど、慣れや数の積み重ねで最近はあまり緊張しなくなりました」と好調の要因を自己分析する。

 “武者修行”が実を結んだ。開催中のスマートフォン不正使用により、5月13日から6月11日まで騎乗停止。その間、師匠の矢作調教師のはからいで5月15日から3週間、大井競馬場へ調教に出向いた。「2時半から最大で18頭も調教つけました。すごく疲れたけど、あれを経験したんだっていう自信につながっていますね」

 騎手が一日に調教をつけるのは東西のトレセンでは通常4、5頭。滞在となる函館や札幌などではその倍となるが、多くても8、9頭だ。JRAよりも早い始動時間から約6時間、地方騎手にまじって休む間もなく馬にまたがる日々。古川奈は笑顔で振り返ったが、肉体面はもちろん、精神的にもタフになったのは間違いない。

 効果は騎乗停止明けの函館から現れている。勝利数は昨年と同じ3勝だが、連対数は6から12に大きく上昇。8日には自身初の一日2勝をマークし、G1騎乗資格の31勝に王手をかけた。どちらも1番人気だったが、実力ある馬の騎乗依頼がくるのも成長の証し。「チャンスのある馬に多く乗せてもらっていたので」と振り返るように、騎乗数も昨年は6週間で33鞍だったが、5週間で49鞍に増えた。

 クイーンSで騎乗するグランスラムアスクとはコンビで3勝と相性がいい。「特別戦を初めて勝った(22年10月16日)のも、けがから復帰後に最初に勝った(21年11月21日)のもこの子ですから、心強いし楽しみが大きいですね」。未勝利戦でのちに中山牝馬S2着のストーリアを撃破するなど、重賞戦線で通用しても不思議ではない。精いっぱいの騎乗を初舞台でみせる。(角田 晨)

 ◆古川 奈穂(ふるかわ・なほ)2000年9月13日生まれ、22歳。東京都出身。血液型A。栗東・矢作芳人厩舎所属。21年3月6日の阪神1Rでラントに騎乗しデビュー(10着)。同13日の阪神6Rバスラットレオンで初勝利。JRA通算30勝(特別2勝)。同期は永島まなみ、永野猛蔵ら。大河ドラマ「竜馬伝」を見て幕末にハマった“歴女”でもある。

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