8月12日、夏の小倉競馬が好天の下に開幕。13日と合わせて2万7000人近くの来場者で大いに盛り上がった。
台風6号の影響で9日と10日に合わせて計31・5ミリの降雨。初日は道悪になるのではと心配したが、水はけのいい芝コースはすぐに乾き、11日の午前には散水が行われていた。全国的に例年より暑い夏。馬場の仕上がり具合に興味が湧き、小倉競馬場の施設整備課・馬場担当の沢田大武課長に話を聞いた。
北九州地方も今年は梅雨の時期から極端な天気だったようだ。「7月上旬まで雨がかなり降って、中旬以降は逆に連日のかんかん照り。開幕に向けて芝の生育に必要な日光は十分にある反面、水分不足が心配になった時期もありました」と沢田課長は振り返った。
馬場が硬くなりすぎると、馬の脚元への負担は大きくなる。硬度を下げる対策として、今回は開幕2週前に行ったエアレーション作業で開ける穴を通常より少し大きく(太く)したという。「今年の夏の開催が4週間(昨年は7週間)のみ。気持ち強めにやっても耐えてくれるだろうと判断しました」。その効果もあり、開幕週の土日のクッション値はいずれも8・9と、標準の範囲内(8~10)に収まっていた。
野芝のみで行われる今開催は速いタイムが出やすく、レコード決着も珍しくない。だが「全体的に走破タイムは年々速くなっている一方で、事故率は下がっています」と同課長は胸を張る。安全性が上がっている要因は走りやすい馬場だけではなく「騎手の技術向上や厩舎関係者の努力、獣医学の進歩も挙げられます」と強調した。
今週20日はスピード自慢が顔をそろえる北九州記念・G3(芝1200メートル)が行われる。勝ち時計も気になるが、力を出し切った全ての人馬がゴールを駆け抜ける姿をしっかり見届けたい。(中央競馬担当・吉村 達)