◆第18回キーンランドC・G3(8月27日、札幌・芝1200メートル、重)
サマースプリントシリーズ第5戦、第18回キーンランドC・G3は27日、札幌競馬場で行われ、1番人気に支持されたナムラクレア(浜中)が外を回してライバルをねじ伏せ、快勝し、重賞4勝目を挙げた。優先出走権を得たスプリンターズS・G1(10月1日、中山)でのリベンジへ最高の形で発進した。
実りの秋へ貫禄の走りを披露した。ナムラクレアが、大外からぶっこ抜いて4つ目のタイトルをゲット。昨年5着に敗れた大目標のスプリンターズSでのリベンジに向け、前哨戦を最高の形で締めた。ゴール直後に左手でガッツポーズをつくった浜中は「強かったと思います。休み明けでしたが、厩舎が上手に仕上げてくれていたし、何の不安もなかったです」と1番人気に応え、胸を張った。
昼過ぎに激しく降った雷雨が上がったとはいえ、内は相当荒れていた。14番枠からスタートを決めた4歳牝馬は道中、馬場のいい7番手の外。抜群の手応えで直線に向くと、メンバー最速の上がりで大外から伸びる。内で逃げ粘るシナモンスティックを楽々とかわし、1馬身差をつける圧倒的な強さを見せつけた。
鞍上は「なるべく外めの馬場のいいところを通らせようと思っていた。イメージに近い競馬ができた」と納得の表情。管理する長谷川調教師も「本来はきれいな馬場がいいが、着差をつけてくれたし、強い内容。環境の変化に順応してお姉さんになった。陣営としては大きな1勝でした」と成長を感じ取っていた。
3歳だった昨年は、函館スプリントSを制し、北九州記念(3着)を挟んでスプリンターズSだったが、今年はこのレースのみ。本番に向け最高の上昇カーブを描くため、陣営が逆算して導いた「ゆとりのローテーション」を勝利の方程式にする。トレーナーは「気持ちの強さが彼女の一番いいところ。それを切らさずに持っていければ」。悲願のビッグタイトルへ。北都で得た自信を胸に、堂々と秋へ向かう。(松末 守司)
◆ナムラクレア 父ミッキーアイル、母サンクイーン2(父ストームキャット)。栗東・長谷川浩大厩舎の牝4歳。北海道浦河町・谷川牧場の生産。通算14戦5勝。総獲得賞金は3億4910万4000円。重賞4勝目。主な勝ち鞍は21年小倉2歳S・G3、22年函館スプリントS・G3、23年シルクロードS・G3。馬主は奈村睦弘氏。