小欄ではG1凱旋門賞について血統面から検討したい。昨年はガリレオ系フランケルを父に持つアルピニスタが1着、同系チャーチルの産駒ヴァデニが2着。凱旋門賞におけるガリレオの影響力は相変わらずだが、今度はひ孫でも勝利なるか注目される。
Cracksman | Frankel | Galileo |
Kind | ||
Rhadegunda 鹿毛 2005 | Pivotal | |
St Radegund | ||
Absolutly Me 鹿毛 2009 ダンチヒ系 | Anabaa Blue 鹿毛 1998 | Anabaa |
Allez les Trois | ||
Tadawul | Diesis | |
Barakat |
エースインパクトは血統表のとおり、ガリレオのひ孫にあたる。祖父は前記アルピニスタの父フランケルだ。父クラックスマンは2017年と2018年のG1英チャンピオンS(芝9ハロン212ヤード)を連覇したほか、パリロンシャン芝2100メートルのG1ガネー賞、シャンティイ芝2400メートルのG2ニエル賞とフランスでも勝ち鞍がある。
母の父アナバーブルーはG1仏ダービー馬。その父アナバーは2013年と2014年のG1凱旋門賞を制したトレヴの母の父としても知られる。
曽祖父ガリレオの祖母と、母の父アナバーブルーの祖母によって生じるアレグレッタのクロスも光る。アレグレッタは1993年のG1凱旋門賞馬アーバンシーの母、ガリレオ&シーザスターズ兄弟の祖母、2021年の覇者トルカータータッソの4代母にあたる。G1凱旋門賞に強いアレグレッタの血を際立たせる技巧は注目に値する。
ハーツクライ | サンデーサイレンス 青鹿毛 1986 | Halo |
Wishing Well | ||
アイリッシュダンス 鹿毛 1990 | トニービン | |
ビユーパーダンス | ||
フラッフ 鹿毛 2012 サドラーズウェルズ系 | Galileo 鹿毛 1998 | Sadler's Wells |
Urban Sea | ||
Sumora 鹿毛 2002 | デインヒル | |
Rain Flower |
日本生まれのコンティニュアスは、2020年の優勝馬ソットサスと同じく母の父にガリレオを持つ。ハーツクライの産駒は2014年のジャスタウェイが8着、昨年のドウデュースが19着と敗れたが、母の父ガリレオが頼もしい援軍となるだろう。
コンティニュアスは母方の血統も優秀。父ディープインパクトの日本産馬で、2018年のG1英2000ギニーに勝利したサクソンウォリアーとはいとこ同士の間柄だ。同馬の母メイビーは2011年の欧州最優秀2歳牝馬。曽祖母レインフラワーの産駒にはG1英オークス馬ダンシングレインがいる。
ガリレオの半弟で2009年のG1凱旋門賞馬シーザスターズも軽視できない存在。産駒から勝ち馬こそ出ていないが、2017年2着クロスオブスターズ、2018年2着シーオブクラスなどが好走している。
Sea The Stars | Cape Cross 黒鹿毛 1994 | Green Desert |
Park Appeal | ||
Urban Sea 栗毛 1989 | Miswaki | |
Allegretta | ||
Aghareed | Kingmambo 鹿毛 1990 | Mr. Prospector |
Miesque | ||
Lahudood 鹿毛 2003 | Singspiel | |
Rahayeb |
フクムは父がシーザスターズ。全弟バーイードは昨年の欧州年度代表馬で、G1インターナショナルSやG1クイーンエリザベス2世SなどG1・6勝を挙げた。父シーザスターズ×母の父キングマンボの配合は前出クロスオブスターズと同じでもある。
Sea The Moon | Sea The Stars 鹿毛 2006 | Cape Cross |
Urban Sea | ||
Sanwa 栗毛 2004 | Monsun | |
Sacarina | ||
Frangipani | Jukebox Jury 芦毛 2006 | Montjeu |
Mare Aux Fees | ||
Firedance 黒鹿毛 2001 | Lomitas | |
Fraulein Tobin |
ファンタスティックムーンは、シーザスターズ後継シーザムーンの産駒。父は2014年のG1独ダービーを11馬身差で圧勝した実績を持つ。種牡馬としても成功し、特に今年は本馬でG1独ダービー父子制覇を果たしたほか、G1独オークスも産駒が1着から3着を独占するなど絶好調だ。
◆成田幸穂(なりた・さちほ) 1984年8月8日、東京生まれ。(株)サラブレッド血統センター所属。週刊競馬ブック連載「海外競馬ニュース」の編集を担当。同誌のほか、研究ニュースで予想コラム「血統アカデミー」を執筆中。10月1日(日)22時30分から、ラジオNIKKEI第1「凱旋門賞実況中継」に出演予定。