◆第28回秋華賞・G1(10月15日、京都・芝2000メートル=稍重)
第28回秋華賞・G1が15日、京都競馬場で行われ、単勝1・1倍に支持されたリバティアイランドが勝ち、史上7頭目の牝馬3冠に輝いた。川田将雅騎手(38)=栗東・フリー=は史上4人目となる3歳G1完全制覇を達成し、「(リバティは)日本の歴史にも名を残すことができることになりました」と語った。今年から与えられる牝馬3冠(桜花賞、オークス、秋華賞)制覇ボーナスの1億円を獲得。次走は未定だが、歴史的名牝の道を歩み続ける。
3角で川田がリバティアイランドを早めに外に誘導した時点で、勝負は決した。「道をつくれた段階で、もう負けることはないと思いました。4角で『もう行っていいよ』と伝えました」。勝負どころで4頭ぶん外を回る安全策で4角で先頭に並びかけると、あとは突き放す一方。4万5000人の大歓声の中、手綱をしごき、ステッキ一発で史上7頭目の牝馬3冠を決めた鞍上は「心から感動してます」と胸を張った。
3冠最終戦は3年ぶりとなる京都内回り。歴代の3冠牝馬も苦しんだトリッキーな舞台だ。G1では20年菊花賞(コントレイル)以来となる単勝1・1倍に支持された。しかし、強気なレースで押し切り「絶対的な自信が彼女に対してありますので。いつもと変わらない一日だったなと思います」と迷いも揺らぎもなかった。
簡単にできた信頼ではない。「新馬からずっと乗ってきたのはこの馬だけですから」。昨年7月のデビューからともにG1・4勝を積み重ね、自身は史上4人目となる3歳G1完全制覇を達成。この日は38回目の誕生日でもあり「ジョッキー20年目で、競馬の神様がくれた最大、最上のプレゼントだと思います」と思わず感極まり、声を震わせた。
ジョッキーカメラではゴール後「ありがとう、お嬢さん」とリバティをねぎらい、会見では「まだお姉さんにはなれていません。もっと良くなれる部分があります」と穏やかな笑みを浮かべた。一方で「日本の歴史にも名を残すことができることになりましたから。ますます彼女が背負うものは大きくはなりましたけど、それにふさわしい馬だと思っています」と期待を込めた。
大きな仕事を成し遂げた人馬の今後について、馬主のサンデーレーシング・吉田俊介代表は「距離がもつのかなと思っていましたが、きょうの結果を踏まえたら心配ないのかなと。これからどこに行くにしても楽しみです」と話した。次走は未定だが、いずれにしても新たな歴史を作る一歩となる。(玉木 宏征)
◆3歳G1完全制覇した騎手
武豊(桜花賞5勝、オークス3勝、秋華賞3勝、皐月賞3勝、日本ダービー6勝、菊花賞5勝、NHKマイルC3勝)
福永祐一(桜花賞2勝、オークス3勝、秋華賞1勝、皐月賞2勝、日本ダービー3勝、菊花賞2勝、NHKマイルC1勝)
ルメール(桜花賞2勝、オークス3勝、秋華賞2勝、皐月賞1勝、日本ダービー1勝、菊花賞2勝、NHKマイルC2勝)
川田将雅(桜花賞3勝、オークス2勝、秋華賞1勝、皐月賞1勝、日本ダービー1勝、菊花賞1勝、NHKマイルC1勝)
◆リバティアイランドの圧倒的人気
▽3冠牝馬最高支持率 単勝支持率は67.3%。02年ファインモーションの72.0%には及ばなかったが、歴代3冠牝馬では最高。
▽G18度目の単勝1.1倍 1984年のグレード制導入後、平地G1でニホンピロウイナー(85年安田記念)など8度目。敗れたのはタイキシャトル(98年スプリンターズS)のみ。
▽3冠牝馬で全3冠1倍台は2頭目 単勝オッズは桜花賞1.6倍、オークス1.4倍に続く1倍台で、3冠牝馬では桜花賞1.6倍、オークス1.8倍、エリザベス女王杯(当時の3冠レース)1.3倍だったメジロラモーヌ以来。