◆菊花賞追い切り(18日・栗東トレセン)
菊の舞台が誰よりも似合う。武豊がファントムシーフと淀の3000メートルに挑む。過去32度騎乗し、歴代最多の5勝をマーク。「子供の時から見ていた。初めて勝ったG1ですし、好きなレース。チャンスのある一頭で挑めるのでいい結果を出したい」と力を込めた。
相棒の仕上がりも上々だ。栗東・坂路での最終追い切りは54秒4―11秒9。序盤はスムーズに折り合い、ラスト強めに追われ、確かな脚取りで鋭く伸びた。「いい状態と聞いている」と鞍上。初コンビだった日本ダービー前は3週続けて追い切りで手綱を執ったが、今回は騎乗せず。「3回乗って仕上がり過ぎてしまったのか、当日イレ込んでしまった。それもあって、(西村)調教師から『レースだけでいきましょう』と話がありました」と理由を説明。だが当時と違い、今回は3走続けてのコンビ。特長も把握済みで問題はない。
前走の神戸新聞杯では、デビュー7戦目で初めて逃げるレースを試みて3着。「スタートを決めて先行したいと思っていたし、やりたいレースができた。勝てなかったのは残念ですが、内容としては良かった」と高評価。「折り合いが難しい馬ではないし、スタミナもあるほう。うまくスタートを決めて、早めに動けるポジションを取りたい」とイメージした。
1988年にスーパークリークでG1初制覇を飾り、2019年のワールドプレミアで菊5度目の戴冠を果たした。「最年少記録(19歳7か月23日)と最年長記録(50歳7か月6日)を持っているから、最年長を伸ばしたいね」。3年ぶりとなる淀での大一番。舞台を知り尽くす名手の手綱さばきから目が離せない。(戸田 和彦)
武豊騎手「トップレベルにいる一頭。何とか菊花賞で、という気持ちは強い」
―前走の神戸新聞杯(3着)は12キロ増。春からのファントムシーフの成長は。
「スタートがあまり速くないところがありましたが、前走ではゲートの中でも我慢できていた。ポテンシャルの高さは2歳の時から注目されていた馬。ダービー(8着)では結果で応えることはできませんでしたが、またチャンスをもらえた。力が入るところですね」
―ファントムシーフの強みは。
「乗り味がすごくいい馬でスタミナもある印象。その辺を生かしたい」
―ダービー1、2着馬も出てくる。
「強い馬が出てきますが、ファントムシーフもトップレベルにいる一頭。何とか菊花賞で、という気持ちは強い」