海外競馬に詳しいフリーライターの土屋真光氏は今年のブリーダーズC(日本時間11月4日、5日・米サンタアニタパーク競馬場)を現地で取材している。日本馬8頭が出走を予定している「競馬の祭典」を現地からレポートする。
現地時間10月31日は早朝からサンタアニタパーク競馬場が騒然となった。まだ陽が昇る薄暗い中、ダートマイル・G1(ダート1600メートル)の有力馬の1頭、プラクティカルムーブ(牡3歳、米国Tヤクティーン厩舎、父プラクティカルジョーク)がコース上で息を引き取った。そしてクラシックの有力馬だったアルカンジェロ(牡3歳、米国Jアントヌッチ厩舎、父アロゲート)も脚部不安で回避が明らかとなった。
そんな中、同じくクラシックに出走するデルマソトガケ(牡3歳、栗東・音無秀孝厩舎、父マインドユアビスケッツ)がクリストフ・ルメール騎手を背に本馬場で追い切り。「連戦だったケンタッキーダービーのときより余裕もあっていい感じ。世界で一番美しい競馬場でいい走りを見せたい」と意気込みを口にした。
芝ではターフ・G1(芝2400メートル)に出走のシャフリヤール(牡5歳、栗東・藤原英昭厩舎)が西塚洸二騎手(レースはクリスチャン・デムーロ騎手)を背に大きくストライドを伸ばした。動きを見守った藤原調教師は「馬場、コーナーの感じを確かめて、コースを覚えさせるように。体調も日本と同じ感じで、それが一番の安心材料」と語った。
「同じディープインパクトの仔でダービー馬の対戦、とても楽しみです」と気さくに話すのは今年の英愛ダービー馬のオーギュストロダン(牡3歳、愛国Aオブライエン厩舎、父ディープインパクト)をターフに送り込むAオブライエン調教師だ。「初の米国輸送も問題なくこなし、調整もうまくいってます。ストライドがきれいで、大きい馬なので米国の馬場は合うと見ていますよ」と手応えを持っている。
人気の一角、モスターダフ(牡5歳、英国Jゴスデン厩舎、父フランケル)は「これがラストラン。重馬場の英チャンピオンSよりも合うと照準を定めただけの走りを見せてくれるはず」とJゴスデン調教師も太鼓判だ。