◆第75回阪神JF・G1(12月10日、阪神競馬場・芝1600メートル)
2歳牝馬の頂点を決める阪神JF・G1は10日、阪神競馬場で行われる。今年は好相性のアルテミスS1着馬が参戦を見送り、3枠を巡る抽選にも10頭が待機する混戦ムード。主役候補の重賞馬、アスコリピチェーノ(美浦・黒岩厩舎)は、厩舎のG1初勝利をかけて大一番に挑む。
20年ソダシ以来の無敗戴冠へ、アスコリピチェーノは勝負の栗東滞在で大舞台に挑む。デビューから2戦の内容が秀逸。初戦を後方11番手から上がり最速で差し切ってみせれば、前走の新潟2歳Sもひと息だったスタートを挽回して5番手を進むと、再び豪快に伸びてあっさり重賞制覇を成し遂げた。黒岩調教師は「コントロールが利くし、どんな競馬でもできる」と素質の高さを評価する。
若さを残す2歳。輸送のリスクを避けるため、11月15日に放牧先から美浦に帰厩すると、同17日には早くも栗東入りした。30日には騎乗予定の北村宏が栗東に出向いてCWコースで1週前追い切り。フェブランシェ(3歳2勝クラス)と併せ、一杯に追われて6ハロン79秒3―11秒4で1馬身先着した。「環境が変わると慣れるのに1週間くらいかかるが、食事量、毛づやが上がり、しっかりやれる状態になったので負荷をかけた。折り合いもついていたし、しまいの伸びも良かった」とトレーナー。調整に抜かりはない。
厩舎は12年の開業から過去10度のG1挑戦で2着が2度。11月のエリザベス女王杯ではルージュエヴァイユが勝ち馬に3/4馬身差に迫り、栄冠まであと一歩の戦いを披露した。舞台は阪神の外回り。「長くいい脚を使う馬。条件はいい。この馬の走りができれば」と、黒岩師に気負いはない。堂々と、無傷の3連勝で女王の座を射止める。(松末 守司)