◆第75回朝日杯FS・G1(12月17日、阪神・芝1600メートル)
2歳マイル王決定戦の第75回朝日杯フューチュリティS・G1は17日、阪神競馬場の芝1600メートルで行われる。先週の阪神JFに続く無傷3連勝での頂点を狙うのが、デイリー杯2歳Sの覇者ジャンタルマンタル。G1全5勝がすべて牝馬の高野厩舎が送り込む牡馬の大物候補だ。
堂々と胸を張って大舞台に駒を進める。デイリー杯2歳Sを制したジャンタルマンタルが、無傷の3連勝でのG1初制覇に挑む。G1・5勝を誇る高野調教師だが、今年のマイルCSのナミュールなどすべてが牝馬。牡馬ではタイトルに手が届いていない。「ジャンタルマンタルにとってチャンスはチャンス。注目を浴びる形で出られるのは貴重ですし、勝たせてあげられればという強い気持ちは持っている」と力を込めた。
2歳王者へ順調にステップを踏んでいる。7月に栗東トレセンでゲート試験に合格後、山元トレセンへ放牧。そこで一気に成長。見違えるような馬体になったと言う。「ゲート試験の時は心臓の良さは感じていましたが、フォルムがまだ子供だった。ひと夏の成長は感じましたね」。10月8日の京都の新馬戦を快勝すると、デイリー杯2歳Sも道中は馬群の中でグッと我慢。直線では残り300メートル付近で先頭に立つ正攻法の横綱相撲で押し切った。
スタート良くスッと好位につけられるレースぶりや、抜け出してくるときの一瞬の速さ。「身体能力が高い」とトレーナーが目を細めるポテンシャルに加え、非凡なレースセンス。今回は川田との新コンビだが、今年のスプリンターズSのママコチャなど“テン乗り”でG1・4勝をマーク。実績十分なのも頼もしい限りだ。
「G1は(相手が)強い。2歳馬ですから、ちゃんと走れるか不安の方が大きい」と気を引き締めたトレーナー。だが、過去2走で見せてきたパフォーマンスから、杞憂(きゆう)に終わるはず。来年のクラシックの主役へ。ここを“通過点”にする。(戸田 和彦)
◆高野調教師の重賞成績 11年に開業し、JRA重賞25勝をマークしているが、牝馬がG1全5勝を含む17勝と活躍が目立つ。一方、牡馬ではG1に15度挑戦し、21年天皇賞・春のディアスティマと、22年ホープフルSのセブンマジシャンの6着が最高着順。