◆第68回有馬記念・G1(12月24日、中山競馬場・芝2500メートル)
美浦・鹿戸雄一調教師の長女で、タレントの成瀬琴が栗東でクリストフ・ルメール騎手(44)=栗東・フリー=を直撃した。スターズオンアースで臨む有馬記念に「ビッグチャンス」と手応えを語った。
成瀬(以下、成)「(ルメールが立ち上げた)アパレルのイベントではいつも会いますが、こうした取材は宝塚記念の時以来ですね。今年を振り返っていかがでしたか?」
ルメール(以下、ル)「いい一年でした。1月から調子が良くて、すぐにいいレースをすることができました」
成「今年はすでに(JRAの)G1を6勝していますが、印象に残っているレースは?」
ル「やはり、イクイノックスのジャパンCです。本当にトップレベルになりました。気持ち良かったです」
成「プレッシャーはありましたか?」
ル「そんなにありませんでした。たくさん自信を持って、ずっと『勝てる勝てる勝てる』と思って乗りました。彼の中でも一番すごかったです。それまでは加速がスムーズ。ジャパンCは『ブオーン』という感じ。一気にギアアップして、反応がすごかったです」
成「ジャパンC以外では?」
ル「宝塚記念です。スタートでつまずいてポジションも馬場も悪く、ずっと大外を回ってきれいなレースではなかったです。イクイノックスじゃなきゃ勝てません」
成「改めて、どんな馬でしたか?」
ル「柔らかいけど、秋からはパワーもありました。背が高くて、細くて筋肉もあって…。ウサイン・ボルトに似ていますね(笑い)。イクイノックス、ホントにありがとう!」
成「今年の有馬記念はスターズオンアースと再コンビですね」
ル「はい、絶対にG1レベルホースです。2500メートルもピッタリ。左回りの方がいいので中山が合うかどうかですが、乗りやすいしスタミナもあります。最後のトップスピードはすごいです」
成「牡馬相手の大阪杯でも2着でした」
ル「内回りで間に合いませんでした。中山は少し違います。2周目の向こう正面からペースが上がるので、3~4コーナーで外から動くイメージ。3コーナーまでスローだと良くないです」
成「アーモンドアイも牝馬でしたが、比べるならどうですか?」
ル「スターズはセンシティブじゃないです。乗ったら普通なので、アグレッシブな競馬ができます」
成「ところで、来年は日本でJRA所属となって、10年目ですね」
ル「アニバーサリーです。リーディングを取りたいし、いい馬に乗って大きなレースを優勝したい。モチベーションがあります。毎週毎週、頑張りたい」
成「最後に有馬記念への意気込みを聞かせてください」
ル「スターズは、ジャパンCを使って有馬記念がトップコンディションになるかもしれません。ビッグチャンスです」
<期待感あふれる表情>
今回は2度目の栗東トレセン取材でした。前回はイクイノックスの宝塚記念直前。朝の気温もグッと下がり、ピリリとした空気感や馬たちの熱い鼻息が目立ちました。
この取材はイクイノックスの引退発表があった次の週に行いました。世界ナンバーワンホースの相棒を語るルメール騎手の表情は誇らしさとともに、少し切なくも見えました。以前はイクイノックスのことをバレリーナみたいと表現されていましたが、引退レースとなったジャパンCの前は陸上で“世界最速男”だったボルト選手のようだったと回顧。数か月で印象が変わるほど進化していたことが分かり、改めてスーパーホースだったんだなと実感しました。
今回、再コンビを組むスターズオンアースのことを話すルメール騎手は本当に期待感あふれる表情に見えました。今回の取材を終えて、本命はスターズオンアースだ! と私の気持ちも強く固まりました。(成瀬 琴)
◆成瀬 琴(なるせ・こと)茨城県出身。馬事文化応援グループ「桜花のキセキ」元メンバー。解散後はタレントとして活動。競馬を好きになったきっかけはゼンノロブロイ。「それまで馬はかわいいものだったけど、泥臭い感じがカッコいいと思いました」。大学では馬術部のマネジャーを務めた。趣味はサウナ。猫を飼っている。