【有馬記念】ダイユウサクで有馬記念を制した熊沢重文元騎手が予想初挑戦 本命はシャフリヤール「初めての中山もむしろいい方に出るのでは」

特別表彰の(左から2人目から)熊沢元騎手と小桧山調教師を囲む見上愛(左)、佐々木蔵之介(右)とJRAの吉田正義理事長
特別表彰の(左から2人目から)熊沢元騎手と小桧山調教師を囲む見上愛(左)、佐々木蔵之介(右)とJRAの吉田正義理事長

◆第64回有馬記念・G1(12月24日、中山競馬場・芝2500メートル)

 第68回有馬記念・G1の公開枠順抽選会が21日、都内で4年ぶりに有観客で行われた。伝説の大穴、ダイユウサクで1991年の有馬記念を制した熊沢重文元騎手(55)が暮れのグランプリで予想に初挑戦。11月11日に惜しまれつつ引退した名手は、シャフリヤールに熱視線を送る。史上初の平地&障害でのG1勝利、障害歴代最多の257勝など数々の輝かしい記録を残した名手が、大穴ゲットとなるか。そのシャフリヤールはこの日、滞在中の中山競馬場の芝コースで追い切られ、絶好の動きを披露した。

 91年にダイユウサクで有馬記念を勝たせていただき、30年以上が過ぎました。あのとき私はまだ23歳の若手。人気はなかったけど、馬の状態は最高に調子が良かったので自信を持って乗ったことを思い出します。距離に不安があったためロスがないように脚をためて運び、エンジンがかかってからは、すごい脚。「何とかなる!」と思ったのですが、メジロマックイーン、ナイスネイチャなど相手が相手だけに気を抜けませんでした。

 ゴールの瞬間は正直、「あっ、勝っちゃった」という思いでしたが、本当に気持ちが良かった。今、振り返ると、彼がいてくれたからこそ、37年間も騎手を続けられたと思います。この11月に引退したのですが今回、見る立場で年末のグランプリを楽しみたいです。

 今年は抜けた馬がおらず、難しいメンバー。皆さん、私が分析するからには、ダイユウサクのように「これはビックリ」と驚かせてくれる馬を選ぶことを期待しますよね(笑い)。そんな可能性をシャフリヤールに感じます。アメリカでのブリーダーズCターフ(3着)を見ると、喉の手術の効果で本来の走りを取り戻しました。香港で出走できず日本に戻りましたが、ゲートインさせるからには100%の力を出せる状態のはず。藤原調教師の仕上げを信頼します。

 初めての中山もむしろいい方に出るのでは。特異な舞台設定ですが、私が乗ってきた経験ではスタートして最初の直線に向かうまで、ある程度のポジションにいる必要があります。そして、きついコーナーが6つあって直線が短く、勝つには瞬発力が求められます。位置を取ることができ、いい切れ味もあるので、ピッタリだと思います。

 シャフリヤールもそうですが、やっぱりダービー馬には一目置きたくなります。「勝ちたいレースはダービーと中山大障害」といつも言ってきましたが、悔しいことに縁がなく、競馬の祭典で乗れなかったことが心残りでした。相手はドウデュース、タスティエーラのダービー馬2頭を中心に。世代の頂点に立った馬の底力が、最後はモノをいうとみます。(元JRA騎手)

 <JRA理事長特別表彰「もらっていいのかな」>

 ○…長きにわたって障害と平地で活躍した熊沢元騎手のJRA理事長特別表彰が、枠番抽選後のレセプションパーティーで行われた。プレゼンターの見上愛から花束を、吉田正義JRA理事長から記念品を受け取り、「こんな賞をもらっていいのかなという気持ちです。先生やスタッフの方にかわいがってもらえたのは宝です」と壇上で感謝を述べた二刀流レジェンド。「けがをしないように、楽しんで乗ってほしいと思います」と後進への思いを語った。

 ◆熊沢 重文(くまざわ・しげふみ)1968年1月25日、愛知県刈谷市生まれ。55歳。86年3月に栗東・内藤繁春厩舎からデビューし、今年11月11日付で引退。JRA通算1051勝で、障害は歴代最多の257勝。G1・3勝、JG1・1勝を含む重賞33勝(障害重賞17勝)。91年の有馬記念をダイユウサクで勝利。単勝1万3790円は現在も最高配当。初めて平地と障害両方のG1を制した二刀流レジェンド。

 【熊沢さんの印】

◎(2)シャフリヤール

〇(5)ドウデュース

▲(13)タスティエーラ

△(10)ジャスティンパレス

△(1)ソールオリエンス

△(16)スターズオンアース

△(14)プラダリア

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