23年はリバティアイランドが牝馬3冠を達成。その女王に最も迫ったのは、ローズSを圧勝し、秋華賞でも2着に入ったマスクトディーヴァ(牝4歳、栗東・辻野泰之厩舎、父ルーラーシップ)と言っていいだろう。
陣営の想像を常に超えてきた。ローズSの時点で「完成はまだまだ先」という評価。取材していても、絶対的な自信までは感じられなかった。蓋を開ければ、芝1800メートルのJRAレコードを0秒8も更新して勝利。勝った2戦が重、稍重だったが、良馬場だとここまで切れるのか、と驚いた。戦前、辻野調教師が「もしここで結果を出せば、来年以降、すごい馬になるんじゃないかと思います」と話していたことを思い出し、また衝撃を受けた。
マスクトディーヴァの能力を確信したもう一つのレースが、エリザベス女王杯だ。勝ったブレイディヴェーグはローズSで2着。管理する宮田調教師は「勝った相手(マスクトディーヴァ)も秋華賞でリバティアイランド相手に素晴らしい競馬をしていましたし、そこを物差しにさせていただくと、この子自身もG1を取れるだけの能力、器だと思っています」と話していた。単純に比較はできないが、G2で負かした相手がG1を勝ったのなら、マスクトディーヴァもG1を勝つ力を持っているはずだ。
秋華賞の後は放牧に出され、英気を養っている。まだ馬体も完成途上なだけに、どんな姿でターフに帰ってくるか期待は大きい。今年「すごい馬」として躍進してくれるはずだ。(水納 愛美)