ドバイWCに挑んだウィルソンテソーロ陣営 異国で感じた「普段通り」の難しさ

原優介騎手騎乗のウィルソンテソーロは4着(カメラ・高橋 由二)
原優介騎手騎乗のウィルソンテソーロは4着(カメラ・高橋 由二)
現地で追い切りを終えたウィルソンテソーロの原優介騎手(左)に話を聞く小手川準調教師(カメラ・高橋 由二)
現地で追い切りを終えたウィルソンテソーロの原優介騎手(左)に話を聞く小手川準調教師(カメラ・高橋 由二)

 先月30日のドバイ・ワールドCはローレルリバーが2着以下に8馬身半差をつけての優勝。大きな期待を背負って参戦した日本陣営は悔しさの反面、あまりの大差にあ然としたことだろう。そんななか、4着に終わったウィルソンテソーロにとって今回の経験は人馬ともに貴重なものになったようだ。

 同馬は初の飛行機での長距離輸送を経て決戦の地へ降り立った。小手川調教師準は「到着した時はかなり疲れていましたが、2日もすれば元気になるだろうと思っていました」と当初は見越していた。しかし、もくろみとは裏腹に疲労は1日ずれ込むことになり、わずかながらほころびが生じていた。

 だが、そこからのリカバリーが奏功。シンボリ牧場などで勤務経験を持つ榊原厩務員のケアによって状態はぐんぐん回復した。トレーナーは「筋肉が盛り上がっていくのが分かりましたし、日に日に良くなって行きました」。海外遠征の経験を持つベテラン腕利きの存在によって大きなトラブルにつながることはなく、ウィルソンテソーロは無事に大舞台の砂を踏みしめた。

 一方、デビュー5年目で大抜擢での騎乗となった原優介騎手も環境の違いを肌で感じていた。これまでプライベートで海外経験はあるものの、仕事では初。それだけに「食事が合わなくて体重が減ってしまいました。日本ではほとんどないんですけど…」と予期せぬ体重減に戸惑っていた。だが、そこから日本食へと切り替えると減少はストップ。「それからは少しずつ回復していって、ようやく元の体重に戻りました」。若武者もまた異国の地での体調管理の難しさを痛感したようだ。

 現地ではウィルソンテソーロとのコンビに責任を感じながら携わり、追い切りにもまたがった原騎手。「日本馬の水準は高いと思っています。今後も日本馬が世界に行く時には依頼を頂けるようになりたい。そのためにももっと頑張りたい」。普段通りでいることの難しさ―。大きな経験を積んだ人馬が、今後どれだけ飛躍を遂げるのか見守っていきたい。

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