【皐月賞】矢作厩舎の“3本の矢”が1冠目狙う 個性の違う3頭に「どの馬でもいいから勝ってほしい」

厩舎3頭出しの1頭、ミスタージーティーと矢作調教師(カメラ・高橋 由二)
厩舎3頭出しの1頭、ミスタージーティーと矢作調教師(カメラ・高橋 由二)

◆第84回皐月賞・G1(4月14日、中山・芝2000メートル)

 3冠第1戦、第84回皐月賞・G1(14日、中山)に、栗東・矢作厩舎がシンエンペラー、ミスタージーティー、ホウオウプロサンゲの“3本の矢”で臨む。個性が違う3頭全てに手応えを感じ、3冠馬コントレイル以来4年ぶりのクラシック3冠初戦制覇を狙う。

 決して特別な世代ではない。矢作調教師はフォーエバーヤングが歩むダート路線で無双状態(注)。クラシック3冠初戦にも3頭を送り出すが、満足はしていない。「手応えは毎年あるよ。それだけの馬を入れてもらっているからね。『もっともっと』とは思うけど、何とか3頭出せたのは幸いです」と淡々と語る。

 それぞれに個性を感じている。シンエンペラーは「総合力」だ。昨秋のデビューから自在なレースぶりで連対圏を外さず、前走の報知杯弥生賞は上がり最速タイの末脚で2着を確保。「負けちゃいけないレースと思っていましたけどね。キャリアや競馬の経験が必要な馬で前哨戦も使った。(本来は)秋か来年の馬。とにかく緩い。一番確実に走れるのは、この馬でしょうけどね」と高い素質を評価しながらも冷静に分析する。

 若葉S1着のミスタージーティーは「決め手」、同2着のホウオウプロサンゲは「先行力」が武器になるとみる。「ミスタージーティーは横綱相撲で勝ってくれた。その自信は今回に向け、大きいと思います。ホウオウは体の良さはあるから、集中力が備われば」と好走へのポイントを挙げた。

 3頭すべて国内外のセリで購入。自らの眼で選んだ馬だ。だからこそ、成長過程にも熱い視線を送ってきた。「特にホウオウとシンエンペラーは全面的に俺の推し馬。シンエンペラーは欧州の馬を色々と買ってきたなかで日本向きかなと思って選んだつもりです」と説明する。

 “3本の矢”は大きな力となる、と矢作師は言う。「海外に複数頭で遠征するようなイメージで、やはり調整は力がある馬同士の方がやりやすい。そういう利点はあります」。1週前には栗東・CWコースでシンエンペラーとミスタージーティーが併せ馬を消化。質の高い調教は相乗効果を生む。

 「どの馬でもいいから勝ってほしい。オーナーの期待もそれぞれ非常に高いので、どの馬というのは正直ないです」。20年コントレイル以来となる皐月賞Vへ。6か国でG1を勝ってきた「世界のYAHAGI」が勝負に打って出る。(山本 武志)

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