【天皇賞・春】「チップをかぶるように意識しました」スタミナ自慢の愛馬に課した岡田稲男調教師の秘策

馬なりで僚馬2頭に詰め寄ったテーオーロイヤル(手前)
馬なりで僚馬2頭に詰め寄ったテーオーロイヤル(手前)

◆天皇賞・春追い切り(24日・栗東トレセン)

 第169回天皇賞・春・G1(28日、京都)の追い切りが24日、東西トレセンで行われた。テーオーロイヤルは同じコースで前を行く僚馬2頭を最後まで抜くことなく、予定通りの微調整を完了した。25日に枠順が発表される。

 師弟の思いは一致していた。テーオーロイヤルの最終追い切り後。騎乗した菱田は「時計も予定通りで、内容もすごく良かったです」と満足そうに振り返り、岡田調教師からは「これ以上の調教はないですね」と最大限の賛辞が飛び出した。

 見栄えはしなかった。栗東・CWコースで最内から外テーオーカルドア(3歳未勝利)、中ストームバンガード(3歳1勝クラス)を4馬身追走。2頭を見るような形で最後方から馬なりで半馬身差まで詰めたが、最後まで前には出なかった。時計も6ハロン86秒4―11秒9と目立たない。

 岡田師はき然とした表情で説明する。「チップをかぶるように意識しました。(チップをかぶせたのは)折り合い面もあるし、競馬に向けての闘争心という面もあります」。3000メートル以上の重賞を3勝。持久力豊富な愛馬の調教は「スピード調教より息を整える方がいいと思う」という信念がある。予定通りのミッション完了だった。

 菱田にとっては04年に足を運び、騎手への道を志すきっかけとなったレースだ。「勝った後にそういう縁があったなと思えると思う。勝たないといい思い出にならないと思う」。あれから20年。今は温かくも厳しく見守る岡田師、丁寧に万全の状態へと仕上げてくれる厩舎スタッフが周りにはいる。「しっかりと結果を出して、みんなの頑張りが報われればいいなと思います」。チームから最後に託された手綱。強い決意を胸に、勝利だけをつかみにいく。(山本 武志)

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