22年1歳において、1億3500万円(金額は税別)で取引されたダノンデサイルが、ロジャーバローズ以来、5年ぶり5頭目となるセレクトセール取引馬の日本ダービー制覇を飾った。非サンデーサイレンス系種牡馬では、04年キングカメハメハ以来2頭目となった。
いまや、日本の競馬にとどまらず、世界中が注目するセレクトセール。15年1歳で取引されたヨシダは、芝ダートとも9ハロンのG1ウィナーとなり、逆輸入の形で今年からダーレー・ジャパンスタリオンコンプレックスでけい養された。22年1歳において9800万円で落札されたフォーエバーヤングは、サウジダービーとUAEダービーを連勝。ケンタッキーダービーは、悔しい3着惜敗だったものの、昨年のドバイワールドCで優勝したウシュバテソーロの活躍など、世界のダート界でもセール出身馬が名を轟かせている。
昨年の当歳セッションで20頭完売だったコントレイルは、今年の1歳、当歳ともに完売。なかでも、グランド牧場生産のカレドニアロードの2024(牡)は、母が米2歳牝馬チャンピオンで、気品あふれた顔立ちに、個人的にもひと目ぼれした。3億円で取引されたが、今年のセレクトにおいてコントレイル産駒の最高額となった。キタサンブラックも1歳、当歳ともに完売し、セール最高額も各セッションで記録した。キタサンブラックは、22年から23年は種付け料が2倍(500万円→1000万円)となったが、種付頭数が178頭から242頭に増えた。当歳はハイクラスの繁殖牝馬と交配していることもあり、注目度も高かったが、ヒートアップする競り合いが幾度となくあった。
エピファネイアも、産駒のダノンデサイル、テンハッピーローズなどが春のG1で優勝。その勢いをセールにも持ち込んだ。こちらも完売となったが、3億円を超えた1歳馬は4頭いた。当歳も1頭が3億7000万円を記録している。
当歳セッションで1億円を超えた種牡馬を見ると、上記の種牡馬以外では、初年度となるエフフォーリアとマカヒキ、持ち込みのフライトラインとガンランナーの他、ロゴタイプ、アドマイヤマーズ、リアルスティール、サートゥルナーリア、ロードカナロアなどといったラインアップ。血統の奥深さを購買関係者が醍醐(だいご)味であると感じ、種牡馬の名に引っ張られるだけでなく、牝系の重要性を感じたうえで馬体をチェックする人が増えてきたことが、活発な競り合いのもと、高い評価につながっている。
今月の22日から24日までの3日間、北海道市場でセレクションセールが開催される。こちらにも、良い流れが向くことを期待したい。(競馬ライター)