◆第58回スプリンターズS・G1(9月29日、中山競馬場・芝1200メートル)
前哨戦のチェックポイントは、春からの勢力図に変化があるかどうかだ。今春の高松宮記念を制したマッドクールは、前走のチェアマンズスプリントプライズ・香港G1(11着)以来の直行。おととしの2着馬で、勝った前走の京王杯スプリングC以来となるウインマーベルも、ここが始動戦となる。割って入りそうな新興勢力の筆頭は、重賞2連勝を含む3連勝中のサトノレーヴだろう。
勝った前走のキーンランドCは、好位3、4番手で流れに乗り、危なげなく抜け出して完勝だった。勝ち時計1分7秒9(良)は目立たなくても、前半600メートル通過33秒6という平均ペースを考えれば悪い数字ではない。むしろ2走前の函館スプリントSから馬体重16キロ増で結果を出した点は見逃せない。本番を見据えて余裕を残した仕上げだったなかで、名手レーンが「最後に抜け出した時にかなり強い脚をみせてくれた。そこで勝利を確信した」と絶賛したのは中身の濃さを物語る。
同じステップで挑む2~5着馬とは、それぞれ上積みを見込んでも勝負付けが済んでいると見ていい。あとは春の実績馬と有力なステップであるセントウルS組との比較がポイントになるが、勢いと充実度から決して見劣らない。(坂本 達洋)