【凱旋門賞】前哨戦分析 4年連続で3着以内馬が出ているG1愛チャンピオンステークス

 G1凱旋門賞が10月6日にパリロンシャン競馬場で行われる。小欄ではステップレースとして、9月14日のG1愛チャンピオンS(レパーズタウン競馬場・芝10ハロン、8頭立て)を取り上げたい。

 G1愛チャンピオンS組からは、2020年1着ソットサス、2021年2着タルナワ、2022年2着ヴァデニ、昨年3着オネストと4年連続で3着以内馬が出ている。

 小欄の性質と便宜上、G1愛チャンピオンSをG1凱旋門賞の前哨戦と紹介しているが、レースそのものはアイルランド最高峰のG1。総賞金125万ユーロはG1愛ダービーと並び同国最高で、メンバーレベルは必然的に高い。G1凱旋門賞に限らず、G1英チャンピオンSやG1BCターフ、G1ジャパンCに比肩する大レースだ。

 今年勝ったのはイギリスの3歳馬エコノミクス。ここがG1初挑戦ながら、英G2ダンテS、仏G2ギヨームドルナノ賞を派手な勝ち方で連勝した実力は本物で、好位から正攻法の戦術で押し切った。勝ち時計は2分3秒20(良馬場)。なお、本馬はこのあと10月19日のG1英チャンピオンSに向かう予定だ。

 クビ差の2着にディープインパクト産駒で英ダービーなどG1・6勝の強豪オーギュストロダン。時おり不可解な凡走を見せる同馬だが、ここは後方から鋭く伸びて能力を発揮した末の負けだろう。惜しくも前年に続く連覇を逃したとはいえ、実績に見合う好走でレースの価値を担保する内容だった。次走は11月のG1ジャパンCだというから、来日が楽しみである。

 さらに3/4馬身遅れてシンエンペラー(牡3歳、栗東・矢作芳人厩舎)。スタートを決めて中団に構えたが、最後の直線で前を走る他馬の絶妙な動きによって進路を封じられ、最終盤で外めへ方向転換するロスがあった。それでも上位2頭に小差に迫る走りを見せたことで、欧州での評価は急上昇している。

 4着はG1愛ダービー馬ロスアンゼルス(牡3歳、愛・Aオブライエン厩舎)。道中はこれまでよりポジションを下げて後方2番手。最後の直線では大外からじわじわと追い上げて3番手に浮上しそうだったが、シンエンペラーにアタマ差及ばなかった。

 G1凱旋門賞へ向けた展望としてはシンエンペラー、ロスアンゼルスともに有力候補。

 シンエンペラーはG1未勝利ながら、エコノミクス、オーギュストロダンと欧州の一線級に通用することを示した。兄のソットサスは4歳時にG1愛チャンピオンS4着から転戦してG1凱旋門賞を制覇。兄と同じ臨戦過程で戴冠を期待したいところだ。

 ロスアンゼルスは現地で長距離のG1英セントレジャー出走なら確勝級と見られていたほどの持久力を備える。息の長い末脚を使うタイプで、10ハロンは本馬にとって短かったかもしれない。2400メートルへの距離延長は大歓迎だろう。

◆成田幸穂(なりた・さちほ) 1984年8月8日、東京生まれ。(株)サラブレッド血統センター所属。週刊競馬ブック連載「海外競馬ニュース」の編集を担当。同誌のほか、研究ニュースで予想コラム「血統アカデミー」を執筆中。

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