◆第29回秋華賞・G1(10月13日、京都・芝2000メートル)
第29回秋華賞・G1の出走馬が10日、確定した。キャットファイトが回避し、過去最少の15頭立てとなった。「考察」はレースごとに重要ファクターを掘るキーポイント編、ヤマタケ(山本武志)記者は「コース&馬場状態」に着目。騎手心理まで加味した結果、怖い差し馬のミアネーロが浮かび上がった。
秋華賞の舞台は京都内回り。小回りに近いコース形態でトリッキーと言われることが多く、直線は328・4メートルと非常に短い。先行策が勝利への近道、と考えるのがセオリーだろう。
しかし、だ。京都で施行された過去10回で連対馬20頭を見てみると、4角で6番手より後ろだった馬が実に14頭。逆に3番手以内だった馬は3頭しかいない。圧倒的に差し馬が幅を利かせているのだ。14年ショウナンパンドラ、15年ミッキークイーンで連覇している浜中は「みんながポジションを取りたいので、そこそこのペースになるんですよ。それが勝負のかかっているG1だったら、その意識はなおさら強いと思います」と分析。道中はよどみのないペースで流れ、直線で様相が一変するケースが目立つ。
さらに、今年の馬場もレース傾向を後押しする。先週の京都は開幕馬場ながら、芝11鞍中6鞍で差し馬が勝利。勝ち馬11頭中、上がり最速の馬が半分以上の6頭を占めた。今年はセキトバイーストの単騎先行が濃厚だが、藤岡佑は「スタートから安定したラップを刻みたい」と指摘。ため逃げでスローに落とし込むタイムではない。直線で差し馬浮上の余地は十分だ。
ミアネーロが怖い。前走は直線で進路が開いたのはラスト300メートルほどだが、非常に俊敏な反応で追えば追うほど伸びそうな脚は最も目を引いた。「春は長くいい脚を使うタイプでしたが、体幹がしっかりしてきて、スッと反応できるようになりました」と林調教師は成長を感じ取る。混戦ムードが漂う今年。色気を持った各馬が勝負に出れば、決定力を増した末脚がうなりを上げる。(山本 武志)