◆第76回阪神JF・G1(12月8日、京都競馬場・芝1600メートル)
第76回阪神JF・G1は8日、京都・芝1600メートルで行われる。1週間を通してレースや出走馬を深掘りする「考察」は松末守司記者が担当。プロローグ編では2戦2勝のクリノメイに着目した。管理する須貝尚介調教師(58)=栗東=は現役単独最多の3勝。2歳牝馬の仕上げに定評のある陣営が送り出すオルフェーヴル産駒を、V候補の一角に挙げた。
2歳戦を小学生の運動会に例える人がいる。不確定要素が多いだけにそれも納得だが、今年はさらに阪神競馬場の改修に伴い、京都が舞台となる。過去のデータが当てはまらないだけでなく、米国のメイデイレディがレース史上初となる外国馬として参戦。難解極まりない一戦となった。では、ひもとくカギはあるのか? 1週間、そこを探っていきたい。
このレースを予想をするうえで重要な陣営がある。過去3勝を挙げる須貝厩舎だ。12年ローブティサージュ、13年レッドリヴェール、20年ソダシで制し、勝率は5割。また、ローブとリヴェールはともに5番人気だったことから、出走してくれば人気に関係なく、警戒すべき厩舎であることは間違いない。
共通するのは4~5月の早い時期にトレセンに入厩してゲート試験を受け、調教を重ねて、夏の北海道、阪神でデビューを迎えていること。2歳時からハードトレを課すことで体力を強化し、基礎をつくり上げて成長を促していく。ソダシなども同厩舎の英才教育を受け、みっちり調教を消化してG1馬にまで上り詰めた過去がある。
今年出走するクリノメイもそうだ。栗東でゲート試験を受け、7月には北海道入りした。しっかり負荷をかけられ、8月10日の札幌・芝1500メートルの新馬戦を勝利。続くサフラン賞(中山・芝1600メートル)では、中団から折り合いをつけ直線まで運び、外めからじわじわと伸びると5頭が横一線に並んだ大混戦から鼻差抜け出す抜群の勝負根性を発揮し、無傷の2連勝を果たした。
派手さはないが、2歳戦においてはこの気持ちの強さが何よりも大きな武器になる。須貝調教師も「サフラン賞は輸送があっても問題なく、強い内容だったからね。競馬自体は癖がなくて、乗りやすいと思う。とにかく、根性があるのがいい」と長所を伝える。
過去10年で無敗馬は5勝。今年の全国リーディング首位(52勝)を快走する“常勝軍団”で鍛えられたオルフェーヴル産駒が、先輩たちに続く可能性は十分にある。(松末 守司)