◆第76回阪神JF・G1(12月8日、京都競馬場・芝1600メートル)
ウオッカやブエナビスタ、そしてリバティアイランドと、阪神JFは歴史に名を残す名牝たちが制してきた登竜門。今年は阪神競馬場の改修工事のため京都開催だが、レースの本質は変わらないとみて最も大物感のある馬を狙いたい。
コートアリシアン(牝2歳、美浦・伊藤大士厩舎、父サートゥルナーリア)の新馬戦(東京・芝1600メートル)は、スタートで後手を踏むもすぐにポジションを挽回し中団を追走。直線では外を回して上がり3ハロン33秒3の末脚を繰り出し、2着馬を5馬身突き放した。他馬を一気にかわした残り400~200メートル区間のレースラップが10秒9。新馬戦としてはかなり優秀な数字だ。
続く新潟2歳Sは2着に敗れたが、むしろ強さを見せたレースだった。再びスタートで遅れ促されると、大きく口を割り消耗。それでも直線では上がり最速の伸びを繰り出し、一度は先頭に立った。新潟外回りで勝ち馬の長い末脚に屈したが3着以下は3馬身離しており、序盤のロスがなければ勝っていたとみる。
まだ体のバランスが整っておらず、精神的にも幼い。スタートにも不安がある。だが、その荒削りな走りのなかに、G1級のパワーを感じさせるレースぶり。1週前追い切りでは新コンビの戸崎圭太騎手がまたがり、美浦・Wコースで6ハロン81秒8―65秒4―11秒3の好タイムを馬なりでマークした。状態は完調だ。
鞍上も「思ったより気持ちに余裕がある感じだった。最後を少し伸ばして感触はいいです」と、手応えを口にする。父に似て使える脚が短いため、新潟外回りよりは京都の方がコースも合う。偉大なヒストリーに最初のG1タイトルが刻まれようとしてる。(角田 晟)