【サウジカップデー】驚きはない、サウジアラビアはドバイ、香港に続く日本馬の主戦場だ

4年ぶりの勝利が海外重賞制覇となったステイフーリッシュ(左から岡助手、藤田助手、ルメール、矢作調教師、カメラ・高橋 由二)
4年ぶりの勝利が海外重賞制覇となったステイフーリッシュ(左から岡助手、藤田助手、ルメール、矢作調教師、カメラ・高橋 由二)

 サウジカップデー諸競走が26日、サウジアラビアのキングアブドゥルアジーズ競馬場で開催された。12頭が出走した日本勢は、クリストフ・ルメール騎手(42)=栗東・フリー=に導かれ、オーソリティ(ネオムターフC)、ソングライン(1351ターフスプリント)、ステイフーリッシュ(レッドシーターフH)、ダンシングプリンス(リヤドダートスプリント)の4頭が海外初勝利をG3で挙げた。また、1着賞金1000万ドル(約11億5000万円)を懸けたメインのG1、サウジカップは地元のエンブレムロードが優勝。日本のマルシュロレーヌは6着、テーオーケインズは8着に終わった。

 日本調教馬が4勝したサウジカップデー。一昨年の第1回を取材した坂本達洋記者が中東の地での激走ラッシュを“見た”。

 もう驚きでも何でもなくなった。今年で3年目を迎えたサウジカップデーで、日本調教馬が4勝。特に、リヤドダートスプリントのダンシングプリンスは地方移籍を経験し、現役が20頭に満たないパドトロワ産駒。その逃げ切りでの圧勝は、ひときわ存在感を放った。

 開業3年目の海外初遠征で勝利を挙げた宮田敬介調教師は日本に残って愛馬の勝利を確かめた。「やれる期待はあって、人馬、スタッフともども頑張ってくれて感謝です」と会心の笑顔だ。昨年12月のカペラSの勝利で優先出走権を手にして、国内の古馬ダート短距離路線では東京スプリント(4月20日、大井)まで目標となるレースがない事情もあり、「ここでチャレンジしないわけにはいかないと思いました」と話す。賞金(日本馬が勝利したG3の1着賞金90~150万ドル)や招待条件はもちろん、挑めるカテゴリーの多さも、サウジカップデーの魅力となっているのだろう。

 記者が現地取材した一昨年は日本から5頭が参戦して、フルフラットがサンバサウジダービーCでV。ディアドラやマテラスカイが2着に好走するなど、芝でもダートでも日本馬特有のスピードが通用する下地は十分に感じることができた。

 欧州がシーズン前で一線級が集まらないだけに、日本馬にとってチャンスが多い舞台なのは確かだ。今年もトップクラスが集結したサウジカップの壁は厚かったが、その先に続くドバイや香港と同じく“主戦場”として定着したと言える。(坂本 達洋)

 〈ルメール無双、4重賞制覇〉

 サウジの地でルメールと日本馬が旋風を巻き起こした。オープニングのネオムターフC(芝2100メートル)をオーソリティで逃げ切ると芝のG3を3連勝。ナイターとなったリヤドダートスプリント(ダート1200メートル)でもその勢いは止まらない。ダンシングプリンスで逃げ切りを決め、一日でG34勝の固め打ち。「信じられない」と興奮気味に、カメラに向かって4本の指を立てて、ルメールは喜びを表した。

 昨年12月のカペラSで重賞ウィナーの仲間入りを果たしたばかりのダンシングプリンスとは初コンビ。好スタートからハナに立つとリズムよく直線へ。その後は後続を突き放す一方で、2着に5馬身3/4差の圧勝だった。「ちょっとゲートでテンションが高かったので心配したが、うまく出てくれた。先頭に立つことができたのが大きかった」と勝因を挙げた。

 JRAでは今年の重賞に11度騎乗し、1番人気に6度推されながら未勝利。重賞Vは昨年12月のチャレンジC(ソーヴァリアント)以来遠ざかっていたが、見事な手綱さばきで中東の地で白星を重ねていった。

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