◆第14回レパードS・G3(8月7日、新潟・ダート1800メートル、良)
真夏の砂上ダブルヘッダーはいずれも伏兵が制した。新潟競馬場で7日行われた3歳馬同士のG3・第14回レパードSは、7番人気のカフジオクタゴンが重賞初制覇。導いたのは、短期免許で来日2週目のチャクイウ・ホー騎手(32)=香港=だ。早くも腕達者ぶりを見せつけた。
し烈な追い比べは、わずかに香港の名手の執念が上回った。4角で外に膨れたカフジオクタゴンをホーは巧みに立て直すと、ラスト100メートル付近から1番人気のタイセイドレフォンと激しい叩き合いに。大外からはハピも猛追してきたが、気合の右ムチ連発で首、首差の大接戦を制した。
JRA通算2勝目が重賞となったホー。「川田騎手(2着)のようなトップジョッキーと叩き合いができてすごく興奮した。追い切りに乗った時は少し太いかなと感じていたが、返し馬は素軽く、レースでは手前もしっかり替えてくれて別馬のようだった」と勝因を語った。
来日2週目での初タイトルがダート重賞だったのは、本人も想像していなかった。「左回りに、ダートの質も香港とは違うし、まだまだ日本の競馬に合わせていかないといけない。先週はあまりダートが好きではないと言ったが、これで好きになった」とイタズラっぽく笑った。
レース後にはキングエルメスでモーリスドゲスト賞・仏G1に挑むためフランスに滞在中の矢作調教師から安藤助手のもとに「『うれしい。良かった』と言っていましたよ」と電話連絡があった。21年に香港G1クイーンエリザベス2世Cを矢作厩舎のラヴズオンリーユーで制した縁があるホー。「矢作厩舎の馬で勝てたこと、厩舎の皆さんが素晴らしい状態に仕上げてくれたことを称えたいし感謝したい。先週は時差ぼけもあって苦労した部分もあったが、今週は良い感じだった」。G1・6勝の香港馬ゴールデンシックスティの主戦として知られる名手が本領を発揮するのはこれからだ。(西山 智昭)
◆チャクイウ・ホー(Chak Yiu Ho)1990年5月25日、香港生まれ。32歳。香港の近3シーズンではリーディング4、4、5位。見習い時代からニュージーランド、英国、豪州、フランス、ハンガリー、韓国でも騎乗経験がある。短期免許で7月30日から8月28日まで日本で騎乗する予定。身元引き受け先は栗東・安田隆行調教師。
◆カフジオクタゴン 父モーリス、母メジロマリアン(父メジロベイリー)。栗東・矢作芳人厩舎所属の牡3歳。北海道洞爺湖町・レイクヴィラファームの生産。通算8戦4勝。総収得賞金は7539万6000円。重賞初勝利。馬主は加藤守氏。