◆天皇賞・秋追い切り(26日、栗東トレセン)
天皇賞・秋(30日、東京)の出走馬13頭が26日、東西トレセンで最終追い切りを消化した。今年国内初戦を迎えるシャフリヤールは、栗東・坂路でラスト11秒9の切れ味を披露。ダービー馬として7頭目の秋盾奪取を視界にとらえた。
王者の風格を存分に誇示した。昨年のダービー馬シャフリヤールは、栗東・坂路でカントル(6歳オープン)と併走。決して大柄ではないが、馬体からはオーラがあふれていた。ダイナミックかつ俊敏な脚さばきを繰り出し、馬なりで53秒0―11秒9をマークし、併入した。藤原調教師は「時計も出ていますから、予想通りの状態。キレは見せてくれた」と満足げに語った。
今年は異国で鍛錬を重ねてきた。3月に海外初挑戦でドバイ・シーマクラシックを勝利。ダービー馬として初めて海外G1を制する快挙だった。一方、次戦の英・プリンスオブウェールズSは5頭立ての4着。タフなコースに苦しんだが、指揮官は「能力は引けを取らないが、やはり慣れ(が必要)ということ。挑戦することに意味があった」と振り返る。無駄な敗戦ではなかった。
慣れない環境と厳しいレースを経験したことで、一層すごみを増した。「チャンピオンホースとして、心技体がそろっていた。回復も早くて、予想以上にしっかりした馬」と、トレーナーの不安を一蹴する上昇度だ。「去年よりしっかりして、実が入った。完成に近いような感じで成長できている」。もはや弱点は見当たらない。
国内レースは昨年のジャパンC3着以来、11か月ぶり。前回は挑戦者だったが、今回は伸び盛りの3歳馬3頭や、実力十分の古馬を迎え撃つ立場になる。しかし、決して隙を見せるつもりはない。「能力の限界値がどこか分からない。どういう走りをするか楽しみ」。馬名はペルシャ語で「偉大な王」。満を持して、日本のターフで再び貫禄の走りを見せつける。(水納 愛美)