小欄ではG1香港スプリントについて血統面から攻めてみたい。過去5年を振り返ると、2017・2018年ミスタースタニング、2019年ビートザクロックとデインヒル系種牡馬の産駒が強かったが、近2年は3着以内馬がいない。2020年ダノンスマッシュは父キングマンボ系、昨年のスカイフィールドは父フェアリーキング系だった。デインヒル系に絞り過ぎて失敗続きの筆者の反省を踏まえて、まんべんなくチェックしたい。
スカイフィールドは、父が芝1200メートルの豪G2マルチプライヤーSを制したディープフィールド。父系曽祖父エンコスタデラゴは豪チャンピオンサイアー2回の名種牡馬で、産駒には2007・2009年のG1香港スプリント優勝馬セイクリッドキングダムがいる。おじのザデュークは2004年のG1香港マイルで3着に入ると、2005年2着、そして2006年1着と尻上がりに成績を上昇させた。香港国際競走に強い血統構成と言える。
Deep Field | Northern Meteor 鹿毛 2005 | Encosta De Lago |
Explosive | ||
Listen Here 栗毛 2004 | Elusive Quality | |
Announce | ||
Laravissante 鹿毛 2004 ノーザンダンサー系 | O'Reilly 黒鹿毛 1993 | ラストタイクーン |
Courtza | ||
Mer du Sud 鹿毛 1993 | Bluebird | |
Make Plans |
ラッキースワイニーズは、父が豪G3スプリングS(1600メートル)など重賞2勝のスワイニーズ。父系祖父ロンロも豪首位種牡馬で、産駒のジョリーバナーが2020年2着、孫のホットキングプローン(父デンマン)が2019年2着となった。母の父レッドクラブズは2007年の欧州チャンピオンスプリンター。今年の欧州2歳牝馬チャンピオンに輝いたルズーの母の父でもある。
Sweynesse | Lonhro 黒鹿毛 1998 | Octagonal |
Shadea | ||
Swansea 青鹿毛 2002 | Singspiel | |
River Swan | ||
Madonna Mia 鹿毛 2009 ロベルト系 | Red Clubs 青鹿毛 2003 | Red Ransom |
Two Clubs | ||
Hill Of Hope 鹿毛 1999 | Danehill | |
Macozie |
ジャンダルムは、父が2004年の米芝牡馬チャンピオン・キトゥンズジョイ。2013年の北米チャンピオンサイアーとなったほか、欧州年度代表馬ロアリングライオンやG1英2000ギニー馬カメコなど欧州でも一流馬を出した。
Kitten's Joy | El Prado 芦毛 1989 | Sadler's Wells |
Lady Capulet | ||
Kitten's First 鹿毛 1991 | Lear Fan | |
That's My Hon | ||
ビリーヴ 鹿毛 1998 サンデーサイレンス系 | サンデーサイレンス 青鹿毛 1986 | Halo |
Wishing Well | ||
グレートクリスティーヌ 鹿毛 1987 | Danzig | |
Great Lady M. |
シャティン攻略の切り札が父系祖父エルプラド。G1香港マイルの大本命ゴールデンシックスティの父の父、G1香港ヴァーズでは2009年2着スパニッシュムーンの父、2017年2着タリスマニックの父の父と、香港国際競走で実績を残している。
母ビリーヴは2003年の最優秀古牝馬で、スプリンターズSと高松宮記念を制した快足。ジャンダルムとしては2002年の当レース12着に敗れた母の無念を晴らしたいところだろう。
◆成田幸穂(なりた・さちほ) 1984年8月8日、東京生まれ。(株)サラブレッド血統センター所属。週刊競馬ブック連載「海外競馬ニュース」の編集を担当。同誌のほか、研究ニュースで予想コラム「血統アカデミー」を執筆中。12月11日(日)ラジオNIKKEI第1「香港国際競走実況中継」に出演予定。