今月末で引退し、調教師に転身する福永祐一騎手(46)=栗東・フリー=が23日、サウジアラビアで、世界最高の1着賞金1000万米ドル(約13億4000万円)のサウジカップ・G1などの国際競走が行われるサウジカップデー(25日、キングアブドゥルアジーズ競馬場)の公式記者会見に出席。現在の心境、ジョッキー人生の思い出やラストライドへの意気込みを語った。
会見場に現れた福永は、いつも通り冷静な口調で話し始めた。「サウジアラビアに来たのは初めて。毎日が新鮮で感傷に浸るような感じではありませんが、ジョッキーとして最後の追い切りを終えて、近づいてきたのかなと感じています」と心境を打ち明けた。
最後に用意された舞台は中東の地だった。「想像していませんでしたが、サウジアラビアの大きいレースで最後を飾れるのは光栄に思います」と笑み。サウジダービーのエコロアレス、リヤドダートスプリントのリメイクと2鞍を予定する2日後に向けて「どちらも非常にコンディションがいい。こちらのダートにマッチすれば、いい結果が出せると思います」。金曜、土曜とコースを歩き、入念にチェックするとした。
デビューから27年。海外メディアに思い出に残っているレースを問われると、14年ドバイ・デューティーフリー(現ドバイ・ターフ)のジャスタウェイを挙げた。「世界の強豪相手にあれだけのパフォーマンス。すごく驚きましたし、誇りに思っています」とレーティング世界1位獲得につながった一戦を振り返った。
会見の後には今年限りでの引退が決まっている名手、ランフランコ・デットーリ騎手(52)=イタリア=と再会した。「(調教師になってから)自分も乗ってもらいたかったけどね。最後のレースで一緒に乗れるのはうれしい。フランキーファンやし、スーパースターやもん」。少年のように目を輝かせたユーイチは、徐々に戦闘モードに入ってきた。(吉村 達)