◆報知杯弥生賞追い切り(1日・栗東トレセン)
皐月賞トライアルの第60回報知杯弥生賞ディープインパクト記念・G2(5日、中山=3着まで優先出走権)の追い切りが1日、東西トレセンで行われた。ホープフルS2着のトップナイフは前走後も在厩調整。2歳時から積極的にレースを使ってきた叩き上げの仕上がりを、戸田和彦記者が「見た」。
確かな成長を印象付けた。トップナイフの最終追い切り。前哨戦ということもあり、栗東・CWコースで6ハロン84秒7―12秒1。この馬としては時計は目立たないが、体を大きく見せる走りで、昆調教師が「迫力が出てきた」と満足そうに振り返るのも納得の動きだった。2週前には不良馬場で6ハロン79秒7と自己ベストの猛時計。着実なパワーアップも伝わる。
トレーナーのこだわりが詰まっている。「一頭に時間をかけてやるのが昔からのパターン」。ここまでの“軌跡”がかぶるのが08年の日本ダービー馬ディープスカイだ。2歳10月のデビューから使い続け、11戦目で頂点に立った。「競馬を使いながら馬を育てる、成長させられる。この馬(トップナイフ)はそれができる」。厩舎の“先輩”の記憶をたどるように、きっぱり言い切る。
賞金面で日本ダービー出走までのめどが立ったため、今回が約2か月ぶりのレースとなるが、2歳時のキャリアが実に7戦という叩き上げ。少ないレース数や本番までのレース間隔を空けるのが“主流”になりつつあるなか、王道の皐月賞トライアルを使うのも昆調教師らしい選択だと感じる。
昨年9月9日に栗東に入厩して以降、ずっと在厩調整。「芯を太くしたかった」と手元に置き、組んだメニューを消化させ、丹念に成長を促してきた。「行かせても控えても競馬ができる。選択肢が多いのはジョッキーにとっては最高」と信頼する自在性が最大の武器。同舞台のホープフルSで2着に入っている実績は心強く、好勝負は必至だろう。
「能力プラス根性がある。今年のメンバーならチャンスはあると思っている」。ディープスカイのように世代の頂点に立てるか。クラシック戦線を占う意味でも、始動戦でのパフォーマンスが楽しみで仕方がない。(戸田 和彦)
◆ディープスカイ 07年10月のデビューからコンスタントに使われ、翌年1月26日に6戦目で初勝利。さらに9戦目の毎日杯で重賞初制覇を飾ると、続くNHKマイルC、日本ダービーでG1連勝を果たした。初勝利まで5戦以上を要した馬のダービー制覇はほかに1950年のクモノハナのみ。使い続け、強さを増したダービー馬だった。