【エルムS】「最後に外に出したい」イメージ通りの騎乗でセキフウを導いた武豊騎手、武幸四郎調教師と3度目の“兄弟重賞V”

鮮やかに差し切った武豊騎乗のセキフウ(左から2頭目)
鮮やかに差し切った武豊騎乗のセキフウ(左から2頭目)
“武兄弟”3度目の重賞制覇を飾った武豊(右)、武幸調教師
“武兄弟”3度目の重賞制覇を飾った武豊(右)、武幸調教師

◆第28回エルムS・G3(8月6日、札幌・ダート1700メートル)

 ダート2重賞が6日行われ、第28回エルムS・G3(札幌)は、武豊騎手(54)=栗東・フリー=の鮮やかな手綱さばきで6番人気セキフウが約1年9か月ぶりとなる勝利を収め、重賞2勝目、JRAでは同初勝利を挙げた。弟・幸四郎調教師との武兄弟では3度目の重賞制覇。

 さすがレジェンドだ。4角9番手から直線で大外に出したセキフウは、一頭だけ違う脚いろで鋭く伸びた。最後はワールドタキオンに半馬身差をつけて差し切り、自身3度目となる弟の武幸調教師との“兄弟重賞V”を達成した。「今年2回目か。なんで今まで乗せなかったんだろう(笑い)」と、冗談交じりにユタカスマイルを振りまいた。

 タイセイサムソンなど先行馬が多いメンバーとみて、道中はイメージ通りに後方で脚をためた。「少しもまれ弱いのかなと思っていて、最後に外に出したいというのが大きなテーマでした。強かったですね」と鞍上。抜け出してからやめてしまう課題もあるなかで、3角過ぎからスパート。気を抜かせず、はかったようにゴール前でかわし去り、21年の交流G2・兵庫ジュニアグランプリ以来、1年9か月ぶりの勝利をもたらした。

 大沼S(2着)、マリーンS(3着)と近2走は惜しい競馬が続いたなかで、武幸師の調整法への工夫も功を奏した。「函館では張り切って仕上げたら馬が硬くなっていた。今回はあまり追い切りでやらなかったのもよかった」。最終追い切りは自ら手綱を執り、絶妙なさじ加減の仕上げで兄にバトンを渡した腕も光った。今後はコリアカップ・G3(9月10日、ソウル競馬場・ダート1800メートル)に選ばれた場合は、馬の状態を見極めたうえで2年連続の参戦も選択肢に入れていくという。

 武豊のエルムS制覇は、97年のバトルライン以来、実に26年ぶりだった。「覚えてるよ。夏競馬で久しぶりに重賞を勝って(20年小倉2歳Sのメイケイエール以来)、すごくうれしいです」とユタカ。例年と比べて蒸し暑い陽気が続く札幌だが、名手の涼しい顔には爽快感があふれていた。(坂本 達洋)

 ◆武豊騎手と武幸四郎調教師の兄弟コンビでの重賞制覇

 ▽21年ファンタジーS・G3(阪神・芝1400メートル)ウォーターナビレラ(2番人気)

 ▽23年シンザン記念・G3(中京・芝1600メートル)ライトクオンタム(2番人気)

 セキフウ 父ヘニーヒューズ、母シヤボナ(父キングマンボ)。栗東・武幸四郎厩舎所属の牡4歳。北海道浦河町・バンブー牧場の生産。通算19戦4勝(うち地方3戦1勝、海外3戦0勝)。総獲得賞金は1億7510万7100円(うち地方3420万円、海外4916万7100円)。主な勝ち鞍は21年兵庫ジュニアグランプリ・交流G2。馬主は中辻明氏。

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