【オークス】帰ってきた無双 現役最多4勝目の樫男が導いた 桜花賞13着から巻き返しG1初タイトル

外からステレンボッシュを差すチェルヴィニア(手前)
外からステレンボッシュを差すチェルヴィニア(手前)

◆第85回オークス・G1(5月19日、東京・芝2400メートル、良)

 第85回オークスは19日、東京競馬場で行われ、チェルヴィニアが桜花賞13着から巻き返しG1初制覇。落馬負傷から復帰後、G1初勝利となったクリストフ・ルメール騎手(45)=栗東・フリー=は現役最多の4勝目となる好騎乗。完全復活をアピールし、同じ美浦・木村厩舎のレガレイラで17年ぶり史上4頭目の牝馬Vに挑む今週の日本ダービーに弾みをつけた。

 NO1ジョッキーが帰ってきた。ルメールは落馬から復帰後、3度目のG1で今年初のタイトルを獲得。レース後は、開口一番「ただいま!」と元気良く喜びを表現した。12番枠が未勝利というジンクスもどこ吹く風、現役最多4度目の勝利。「牝馬にとってすごく大事なレースで、改めて勝ててうれしい」と満足げな表情を浮かべた。

 前半1000メートルが57秒7の超ハイペースというなか、中団後方の馬群に位置取り。強い前進気勢を見せる場面もあったが「周りに壁があったし、リラックスして息が入った」。うまくなだめながら最終コーナーを通過すると、包まれるのを避け早めに外に持ち出し、坂上でステッキ一発。先に抜け出したステレンボッシュをゴール前ではかったように差し切った。

 桜花賞は直前の3月30日にドバイ・ターフで落馬負傷し騎乗できず。13着に敗れたが信頼は揺るぎなかった。「桜花賞は忘れていいレース。この馬は強いと思っていたし、自信をもって乗った。本物のチェルヴィニアを見せてくれた」。2ケタ着順から巻き返して樫の女王に輝いた相棒をねぎらった。

 管理する木村調教師も今年初の重賞制覇。「注目度の高いレースで結果を出せて、ホッとしています」と静かに語り、「初めて厩舎に来て坂路を登ったときから、自分が手がけてきたトップホース並みのものを期待していました。すごくうれしいです」と愛馬を称賛し、喜びをかみしめた。

 さあ、今週は日本ダービー・G1(26日、東京)だ。「木村&ルメール」のコンビはレガレイラでウオッカ以来、17年ぶり4度目の牝馬の制覇に挑む。皐月賞は騎乗できず6着だったが、20日に45歳の誕生日を迎える名手は「桜花賞と皐月賞を乗れなかったから、オークスとダービーは頑張りたいと思っている。また応援してください」と力を込めた。(角田 晨)

 ◆チェルヴィニア 父ハービンジャー、母チェッキーノ(父キングカメハメハ)。美浦・木村哲也厩舎所属の牝3歳。北海道安平町・ノーザンファームの生産。通算成績5戦3勝。総獲得賞金2億1519万円。主な勝ち鞍はアルテミスS・G3(23年)。馬主は(有)サンデーレーシング。

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