【20年ジャパンC】3冠馬3頭が対決 3着のデアリングタクト、牡馬の“圧”に屈するも競馬史に残る名勝負

ゴール前で必死に詰め寄るデアリングタクト(左から3頭目)
ゴール前で必死に詰め寄るデアリングタクト(左から3頭目)

◆第43回ジャパンカップ・G1(11月26日、東京・芝2400メートル)

 牝馬3冠に輝いた3歳馬が同年のジャパンCに参戦したのは今まで3回ある。競走馬の3歳秋は人間では18~19歳と言われ、牝馬なら女子大生=JDの時期。その挑戦の歴史を「JDのJC」として、3回にわたって紹介する。第1回は3冠馬対決で話題を集めた20年のデアリングタクト。

 一瞬の“圧”が無敗の女王のリズムを狂わせた。最後の直線入り口。中団を追走するデアリングタクトの進路が開けた瞬間だった。外からコントレイルに馬体を併せられると、内へもたれるような走りに変わる。極限の勝負の中で痛いロスだった。「フワッとひるんでしまった。牡馬3冠馬のプレッシャーを感じたのではないでしょうか」と杉山晴調教師は冷静に振り返る。

 世紀の一戦だった。20年のジャパンCは、アーモンドアイを含めた競馬史上初となる3頭の3冠馬による対決が実現。府中の杜に日本中の注目が集まっていた。「胸を借りる立場ですが、しっかり格好はつけてほしい。3冠の時とは違うプレッシャーがありました。本音を言えば『(相手が)強すぎるよな』とは思っていました」とトレーナーは当時の胸中を明かす。

 結果は3着。キャリア6戦目で初の敗戦だった。しかし、直線で内にもたれた後も進路を切り替えて、もう一度加速。最後まで脚を伸ばし、ゴール直前でコントレイルに首差まで迫った。「歯を食いしばって、あきらめずに走ってくれた。負けはしたけど、本当にすごい馬だなと思いました」。3冠馬3頭が力を出し切り、1~3着を独占。3歳牝馬の果敢な挑戦があったからこそ、競馬史に残る名勝負は誕生した。(山本 武志)

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