【ジャパンC】G1・6連勝のイクイノックス、貫いた攻めの調整「勝負の16日間」に強さ集約

馬場の真ん中から抜け出して先頭に立つイクイノックス(左から5頭目)
馬場の真ん中から抜け出して先頭に立つイクイノックス(左から5頭目)

◆第43回ジャパンC・G1(11月26日、東京・芝2400メートル=良)

 「勝負の16日間」に強さが集約されている。イクイノックスの今回のテーマは自身初の中3週での挑戦。能力の高さゆえ、以前はレースのダメージが大きく回復に時間を要した。それだけに天皇賞・秋のレコードV後の調整に注視してきたが、陣営は繊細かつ、大胆な戦略で最高の状態に導いた。

 前走後は福島・ノーザンファーム天栄への放牧から10日に美浦へ帰厩。12日に坂路で帰厩後初時計が出されると、翌週の火曜日には坂路2夲で負荷をかけて、その翌日に1週前追い切りを行った。

 そして、注目はレースの7日前の日曜日には坂路で52秒7の猛時計。これは天皇賞・秋の同じ日より約1秒も速い。もちろん、イクイノックスの成長力と精神力があってこそだが、世界一に君臨しても、貫いた攻めの姿勢。木村調教師は「リスクを背負っている。行くしかない」と調整に心血を注いできた。

 思えば、ドバイ遠征後の宝塚記念。1週前追い切り後に蹄鉄の打ち方を変えている。一歩間違えれば敗戦につながるが、馬と真摯(しんし)に向き合い、最高の答えを導き出してきた。今回の返し馬。「一歩目がすごく良かった」とトレーナーが振り返ったように、完璧に仕上がった愛馬がそこにいた。ファイティングポーズは決して崩さない。厩舎力、これがイクイノックスの強さの秘密の一端と言えよう。(松末 守司)

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