小欄ではG1香港マイルについて血統面からチェックする。まずはディヴィーナの血統表をご覧いただきたい。
見るからに当レース向きの構成に映る。父モーリスは2015年の香港マイルで地元の王者エイブルフレンド(3着)を圧倒。さらにG1チャンピオンズマイル、現役最終戦のG1香港カップも楽勝した。父系祖父スクリーンヒーローは昨年のG1香港ヴァーズ勝ち馬ウインマリリンの父でもある。
ディヴィーナの母ヴィルシーナはG1ヴィクトリアマイルを連覇した名牝。半兄ブラヴァス(父キングカメハメハ)は新潟記念を制している。母の全妹ヴィブロスはG1ドバイターフの覇者で、2018年の香港マイルでビューティージェネレーションの2着に好走。ちなみに過去10年の当レースで馬券圏内に入った牝馬はヴィブロスだけだ。
モーリス 鹿毛2001 ロベルト系 | スクリーンヒーロー 栗毛2004 | グラスワンダー |
ランニングヒロイン | ||
メジロフランシス 鹿毛2001 | カーネギー | |
メジロモントレー | ||
ヴィルシーナ 青毛2009 サンデーサイレンス系 | ディープインパクト 鹿毛2002 | サンデーサイレンス |
ウインドインハーヘア | ||
ハルーワスウィート 栗毛2001 | Machiavellian | |
ハルーワソング |
母の半弟シュヴァルグラン(父ハーツクライ)もG1ジャパンC1着、G1ドバイシーマクラシック2着と大舞台で活躍。国内外で勝負強いファミリーだけに、血統面ではディヴィーナを強く推したい。
ビューティーエターナルは、昨年の勝ち馬カリフォルニアスパングルと同じスタースパングルドバナーの産駒。父は英G1ゴールデンジュビリーSや英G1ジュライCなどG1・4勝馬で、2010年の欧州チャンピオンスプリンターに輝いた。
Starspangledbanner 栗毛2006 ダンチヒ系 | Choisir 栗毛1999 | デインヒルダンサー |
GreatSelection | ||
GoldAnthem 栗毛1999 | MadeOfGold | |
NationalSong | ||
IthacanQueen 黒鹿毛2008 ターントゥ系 | Savabeel 青鹿毛2001 | Zabeel |
SavannahSuccess | ||
BeringIsland 栗毛2000 | Bering | |
WienerWald |
ビューティーエターナルは母方も良血。曽祖母ヴィーナーヴァルトの産駒に英G1レーシングポストトロフィーのクラウディドハウス、孫に米G1アメリカンオークス招待Sのティッカーテープ、仏G1モーリスドギース賞のブランド、さらに今回一緒に走るトリバリストがいる。
母の父にサヴァビールを持つのは、2021年の香港スプリント3着クーリエワンダー、昨年の香港カップ3着マネーキャッチャー(今年も同レースに出走予定)と同じ。おあつらえ向きの血統構成と言える。
セリフォスは、父がダイワメジャー。同じ父の産駒アドマイヤマーズは2019年の当レースで史上初の3歳馬による優勝を果たした。同じくレシステンシアは2021年のG1香港スプリントで2着と、ダイワメジャー産駒はシャティンとの親和性が高い。また今年10月には、ダブルメジャーが芝3100メートルの仏G1ロイヤルオーク賞を圧勝。海外競馬において再び存在感を示している。
ダイワメジャー 栗毛2001 サンデーサイレンス系 | サンデーサイレンス 青鹿毛 1986 | ヘイロー |
WishingWell | ||
スカーレットブーケ 栗毛1988 | ノーザンテースト | |
スカーレツトインク | ||
シーフロント 鹿毛2011 ナスルーラ系 | LeHavre 鹿毛2006 | Noverre |
MarieRheinberg | ||
FreedomHerself 鹿毛1999 | FreedomCry | |
RedeemHerself |
◆成田幸穂(なりた・さちほ) 1984年8月8日、東京生まれ。(株)サラブレッド血統センター所属。週刊競馬ブック連載「海外競馬ニュース」の編集を担当。同誌のほか、研究ニュースで予想コラム「血統アカデミー」を執筆中。12月10日(日)16時45分から、ラジオNIKKEI第1「香港国際競走実況中継」に出演予定。