【マーメイドS】08年に3連単193万円超も出た「荒れるハンデ戦」 斤量52キロ&3連勝中の素質馬が穴を開けるか

3連勝中のホールネスとタイトルを狙う西塚
3連勝中のホールネスとタイトルを狙う西塚

◆第29回マーメイドS・G3(6月16日、京都競馬場・芝2000メートル)

 第29回マーメイドS・G3(16日、京都)は、過去に3連単193万円超の配当も飛び出した牝馬限定のハンデ重賞。過去に前走で条件戦に出走した馬が10頭も勝利してきた。今年の注目は前走で2勝クラスを勝ち、3連勝中の素質馬ホールネス。全4戦で手綱を執る西塚洸二騎手(20)=栗東・フリー=は「僕がうまく乗るだけです」と格上挑戦にも臆さず、Vを狙っている。

 荒れるハンデ戦―。3年目の西塚が騎乗するホールネスが不気味だ。格上挑戦とはいえ斤量52キロ、3連勝中の勢いは見逃せない。デビューから3戦は後ろからの競馬だったが、前走の熊野特別は道中4、5番手で折り合って差し切った。全戦で手綱を執る西塚は「トモ(後肢)の力がしっかりして、だいぶ前進気勢が出てきました。ゲート内でも踏ん張りがきくようになって、スタートを出てくれました」と成長を感じ取る。

 5日の1週前追い切りは、栗東・芝コースで6ハロン76秒0―12秒2。ここ3戦は左回りだが、今回の舞台となる右回りでも初陣の阪神で頭差の2着にきており、「(当時も)すごくいいパフォーマンスでしたし、左右差は特に感じないので心配していません。体が成長して、力強さが出ています。良馬場ならもっと切れると思います」と、重馬場だった前走以上のパフォーマンスを期待する。

 22年3月に美浦・鹿戸厩舎からデビューしたが、23年3月からは栗東・藤原厩舎を拠点に武者修業し、今年の4月には正式に栗東に移籍。米国で生まれ、すぐにニュージーランドに引っ越して10歳まで過ごした帰国子女で、美浦では文化の違いに苦しんだ。「ニュージーランドでは自己主張しないと生き残れませんでした。言い訳になってしまいますが、美浦では日本人の感覚で周りと接することができていませんでした。失礼なことをしてしまいました」。藤原調教師をはじめ、関係者に指導され、今になってようやく理解しつつある。

 昨年のマーメイドS(ゴールドエクリプスで4着)はテン乗りだったが、反省も胸に迎える2回目の重賞騎乗は、その藤原厩舎の管理馬だ。「ホールネスはデビュー前から調教で乗せていただいて、やっぱり思い入れが深いです。僕がうまく乗るだけです」。絶好のチャンスのここで人馬ともに重賞初制覇を決め、周囲に少しでも恩返しをしたい。自身もひと皮むけた姿をアピールする。(玉木 宏征)

 ◆荒れるマーメイドS ハンデ戦になった06年以降で一番荒れたのは、前走が1000万下(現2勝クラス)9着のトーホウシャインが勝った08年。最軽量タイ48キロの12番人気で、単勝は116.3倍。2着に10番人気ピースオブラヴ、3着に5番人気ソリッドプラチナムが入り、3連単は193万350円のビッグ配当だった。100万円超えは同年のみだが、11年の42万5710円など3連単の10万円超えは13回を数える。また、過去10年で14~16年は斤量53キロ、18~21年は50、51キロの馬が勝っており、軽ハンデ馬には常に警戒が必要だ。

 ◇前走、条件戦出走組 今年はフルゲート16頭に対して24頭がエントリー。前走で条件戦に出走していたのは12頭で、現状、出走馬決定順で出走可能なのが3勝クラスVでオープン入りしたエーデルブルーメとベリーヴィーナスに、アリスヴェリテ、ホールネス、マリネロの5頭。そのほか、5分の1の抽選組ではアグラシアド、アレグロモデラート、インザオベーション、ピピオラが条件戦組だ(キミノナハマリアは前走で福島牝馬Sに格上挑戦)。

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