【有馬記念・全尚烈オーナーに聞く】サクラローレルVから21年ぶり有馬の「サクラ」!アンプルールで挑む

21年ぶりに愛馬を有馬記念に出走させる全尚烈オーナー
21年ぶりに愛馬を有馬記念に出走させる全尚烈オーナー

◆第62回有馬記念・G1(12月24日・中山競馬場、芝2500メートル)

 サクラアンプルール(牡6歳、美浦・金成厩舎)は、「サクラ」の勝負服として21年ぶりの有馬記念出走となる。(株)さくらコマースの代表取締役社長でもある全尚烈(ジョン・サンヨリ)オーナー(67)に、同馬への期待、1996年に優勝したサクラローレルの思い出、また、キタサンブラックの母の父であるサクラバクシンオーについても語ってもらった。(聞き手・西山 智昭)

 ―有馬参戦を決めた経緯を教えてください。

 「うちはそんなに使い詰めする馬主ではないですし、しっかり間隔を空けて走らせた方が馬のためにもいいと思っています。距離は初めてだけど、中山は実績があるし、天皇賞・秋(8着)後は、有馬記念一本でいいのかな、と考えていました」

 ―前走の天皇賞・秋は残念でしたが、前々走の札幌記念で重賞初制覇。競馬場で観戦されていたそうですね。

 「成長を促しながらやってきたので、じわじわと能力が発揮できるようになってきたのかな、と。そういう意味でも、すごくうれしかったです」

 ―母サクラメガはゆかりの血統(注1)です。

 「競走馬というのは、やはり血統から始まりますからね。キングカメハメハをつけたという意味合いからも、生まれた時から期待していました」

 ―今回、サクラローレルが優勝した1996年以来、21年ぶりにサクラの勝負服がグランプリに帰ってきます。

 「ローレルはあの年、重賞を4つ(注2)勝っているんですよ。中山記念ですごくいい競馬をしてくれて、破竹の勢いで、天皇賞・春を勝ちました。秋の天皇賞も勝てると思っていたんですが、今回騎乗する蛯名騎手にやられちゃってね(笑い)」

 ―蛯名騎手のバブルガムフェローが天皇賞史上初の3歳馬Vを決め、2着マヤノトップガンというレースでしたね。

 「直線で囲まれて脚を余しての3着。当時、僕はめったに検量室に行かなかったんですけど、行ってみたら横山(典弘)騎手がマスコミの皆さんに囲まれて、質問攻めにあっていたんです。その光景を見て、私も彼に声をかけたくなってね。『今回はいいから、有馬記念を勝ってくれ』という話をしたんですけど、彼が相当な悔しさを持っていたので、有馬は絶対勝つな、と心の中で思いましたね」

 ―今回、有馬記念が引退レースとなるキタサンブラックは、母の父がサクラバクシンオーです。

 「バクシンオーは短距離馬だったけど、母系も含めて一族は長距離系なんですよ。ただ、気性が激しかったので、短距離で成功したんですけどね」

 ―キタサンブラックとは3度目の対戦ですね。

 「あちらは今回も1番人気でしょうね。うちのは10番人気くらいじゃないかな(笑い)。ローレルの時は結構自信がありましたけど、今回はまだ力をつけている段階なので、どういう着順になるかわかりませんが、楽しみに見守りたいなと思います」

 (注1)母サクラメガ(父サンデーサイレンス)は未出走だったが、半姉サクラキャンドル(父サクラユタカオー)が95年のエリザベス女王杯を制し、半兄サクラチトセオー(父トニービン)は95年の天皇賞・秋を制覇。同年の有馬記念では3着だった。アンプルールの半兄サクラメガワンダー(父グラスワンダー)は重賞4勝し、09年の宝塚記念でも2着と活躍。

 (注2)サクラローレルは4歳時に両前脚を骨折。復帰戦となった明け5歳時の中山記念は、9番人気の低評価ながら新コンビとなった横山典を背に快勝した。その後、天皇賞・春でG1初制覇を飾り、秋はオールカマー1着、天皇賞・秋3着、有馬記念1着という成績を残し、年度代表馬に輝いた。

 ◆全 尚烈(ジョン・サンヨリ)1950年10月29日生まれ。67歳。(株)さくらコマース代表取締役社長。94年に先代の演植(ヨンシク)氏から競馬事業を受け継いだ。過去にはサクラユタカオー、サクラバクシンオー、サクラチトセオーが元レコードホルダーと、スピードに秀でた馬が多く、「スピードのサクラ、スタミナのメジロ」といわれた。旧八大競走を7勝(ダービー2勝、天皇賞・秋2勝、皐月賞、天皇賞・春、有馬記念)するなど数々のビッグタイトルを獲得しており、グレード制導入後のG1は通算12勝。

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