◆第56回七夕賞・G3(7月12日、福島・芝2000メートル、重)
サマー2000シリーズ開幕戦、第56回七夕賞・G3は12日、福島競馬場で行われ、昨年の2着馬で3番人気のクレッシェンドラヴが直線で内から抜け出し、昨秋の福島記念に続く重賞2勝目を挙げた。内田博幸騎手(49)=美浦・フリー=は、代打Vだった先週のラジオNIKKEI賞(バビット)に続く2週連続の重賞制覇となった。
堂々の勝ちっぷりだ。勢いに乗ったクレッシェンドラヴは、4コーナーで馬群の内を突くと、馬場の真ん中を力強く伸びていった。外からブラヴァスが迫るゴール前で内田の左ムチが飛ぶと、さらに勝負根性を発揮してもうひと伸び。自身2週連続重賞Vを果たした49歳は「こんなことなかなかないと思うが、一つ一つのレースをしっかりと頑張っていけば、チャンスはつかめると思っていた」と、左手を伸ばしてガッツポーズだ。
スタートはひと息で、道中は後方から馬場のいいところを選んで走った。「こういう馬場もこなせると思っていたが、ここまで器用にこなせるとは思っていなかった」と、トップハンデタイの57キロを背負いながら荒れた重馬場を見事に克服。おととしから10戦連続でコンビを組み続けるベテランは調教から手塩にかけてきた。勝負どころで強気に進路を取れたのも、能力を信じ切れているからこその手綱さばきだった。
前走の中山金杯7着後は、日経賞の復帰を目指していたが、右でん部の筋肉痛で回避していた。「半年ぶりでこの結果を出してくれて、ひと段階パワーアップして、いい休養になりました。年齢を重ねるにつれて、精神的にも肉体的にもしっかりしてきました」と、林調教師は目を細める。昨年の福島記念に続く重賞2勝目を挙げ、“福島の鬼”は目を見張る充実ぶりだ。
今後についてトレーナーは「オーナーサイドと相談させていただいてからになりますが、選択肢は増えてきますね。これからは(ローカル以外の)本場でも結果を出さないと、と思います」と、秋の大舞台を見据える。成長力豊かな6歳のステイゴールド産駒の夢は、どんどん膨らんでいきそうだ。(坂本 達洋)
◆クレッシェンドラヴ 父ステイゴールド、母ハイアーラヴ(父サドラーズウェルズ)。美浦・林徹厩舎所属の牡6歳。北海道新ひだか町・木村秀則氏の生産。通算成績は22戦7勝。重賞2勝目。通算獲得賞金は1億8840万4000円。主な勝ち鞍は19年福島記念・G3。馬主は広尾レース(株)。