【京都大賞典】16年ダービー馬マカヒキ、5年1か月ぶり白星 G1馬史上最長ブランク

藤岡康のステッキに応えて復活星を挙げたマカヒキ(左から4頭目)
藤岡康のステッキに応えて復活星を挙げたマカヒキ(左から4頭目)

◆第56回京都大賞典・G2(10月10日、阪神・芝2400メートル、良)

 8歳馬が劇的な復活を遂げた。第56回京都大賞典は10日、阪神競馬場で行われ、16年の日本ダービー馬マカヒキ(藤岡康)が同年9月の仏G2・ニエル賞以来の勝ち星を挙げた。ニエル賞からは中5年28日、ダービーからは中5年4か月10日の勝利で、G1ホースでは史上最長ブランク勝利となった。

 全身から闘争心がほとばしっていた。直線入り口。馬群に包まれていたマカヒキは藤岡康の左ステッキを受けて進路をこじ開けると、ラスト100メートルで復活への光が差し込むように視界が開けた。「何とか間に合ってくれ」。藤岡康の祈りを込めた右ステッキが、徐々に本来の力強さを呼び起こす。先に抜け出したアリストテレスを目標にとらえると、人馬一体となった走りでさらに加速。図ったように鼻差前に出た。

 レース後の検量室前では笑顔の藤岡康が「よく頑張った」と何度も首筋をなでた。自身が騎乗しないレースでも追い切りをつけることがあったパートナーとは天皇賞・春から2戦連続のコンビ。ダービー馬として屈辱的な17連敗をストップし、「ダービー馬でファンの多い馬。何とか復活してほしいと思っていたので本当にうれしい」と本音が漏れた。レース後は大きな拍手が場内を包み込んだ。

 記録ずくめの復活劇だ。今回は16年の仏ニエル賞以来、G1勝ち馬としては史上最長となる5年1か月ぶりの勝利。クラシックホースが5年以上も勝ち星から遠ざかった例は過去に一度もなく、重賞勝利のブランクとしても歴代3位となった。さらに友道調教師にとっては節目のJRA重賞通算50勝。「復活してくれましたね。久々のG2で本当の力を出してくれた」。レースを見守っていた東京競馬場でも自然と拍手が起こり、胸を熱くした。

 優先出走権を獲得した天皇賞・秋は見送る方針で、今後はジャパンC(11月28日、東京)を視野に調整される。「ポテンシャルの高い馬。いつも一生懸命に走ってくれるし、これからも頑張ってくれると思います」と藤岡康。ようやく取り戻した本来の姿で、再び大舞台に打って出る。(山本 武志)

 ◆マカヒキ 父ディープインパクト、母ウィキウィキ(父フレンチデピュティ)。栗東・友道康夫厩舎所属の牡8歳。北海道安平町・ノーザンファームの生産。通算24戦6勝(うち海外2戦1勝)。総収得賞金は6億3978万6600円(うち海外971万1600円)。重賞4勝目。主な勝ち鞍は日本ダービー・G1、報知杯弥生賞・G2、ニエル賞・仏G2(すべて16年)。馬主は金子真人ホールディングス(株)。

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