華麗に飛んで有終の美を飾った。ステイゴールドにとって０１年の香港ヴァーズは２０回目のＧ１挑戦で、７歳暮れでの引退レース。直線の入り口ではるか前にいたデットーリ騎乗のエーカー（ＵＡＥ）に一完歩ごとに詰め寄り、ゴール寸前で差し切った。国内Ｇ１で「善戦マン」と呼ばれたが、異国の地で初のビッグタイトルとなった。
当時３２歳の武豊は「羽が生えた。ゴドルフィンの勝負服を見ると燃えるみたいだね」と興奮。その年のドバイ・シーマクラシック（当時Ｇ２）も、同じゴドルフィン軍団でデットーリが乗るファンタスティックライトを差し切った。ロングスパートの再現で、日本産馬＆日本デビュー馬として初の海外Ｇ１制覇は成し遂げられた。
当時管理した池江泰郎元調教師は「絵に描いたようなラストラン。外国に行くと日本では考えられない脚で伸びる不思議な馬でした」と振り返る。種牡馬でも成功し、ともにＧ１・６勝のオルフェーヴル、ゴールドシップを輩出。障害でもＪＧ１・７勝のオジュウチョウサンがいる。
１５年２月に２１歳で世を去った。今年の香港ヴァーズに産駒のステイフーリッシュ、マイルはインディチャンプが出走。池江さんは「現在も香港で子供が走るのは、すごい。応援しています」。香港名「黄金旅程」の伝説は今も続く。（内尾 篤嗣）
◆ステイゴールド 父サンデーサイレンス、母ゴールデンサッシュ（父ディクタス）。栗東・池江泰郎厩舎所属の牡馬。北海道白老町・白老ファームの生産。通算成績は５０戦７勝（海外２戦２勝）。総収得賞金１０億３７４７万３０００円。主な勝ち鞍は香港ヴァーズ・Ｇ１、ドバイ・シーマクラシック・Ｇ２、日経新春杯・Ｇ２（以上０１年）、目黒記念・Ｇ２（００年）。馬主は社台レースホース。
マイページ
