◆第166回天皇賞(秋)・G1(10月30日、東京・2000メートル)追い切り=10月26日、美浦トレセン
第166回天皇賞・秋(30日、東京)で競演するG1馬5頭の一角、ジオグリフが26日、G12勝目へ万全の準備を整えた。福永祐一騎手(45)=栗東・フリー=が美浦・Wコースの最終追い切りに駆けつけてコンタクト。1ハロン(200メートル)ごとにタイムを短縮する加速ラップを刻み、成長を印象づけた。同年の皐月賞馬が天皇賞・秋を勝てば昨年のエフフォーリアに続く史上2頭目。皐月賞と同じ2000メートルで、並み居る古馬撃破を果たす。枠順は27日に決定する。
力を宿す福永の視線に、状態の良さへの手応えがにじみ出た。皐月賞、日本ダービーと同様、美浦に駆けつけての最終追い切り。ジオグリフは午前6時の開門に合わせて美浦・Wコースに姿を現した。カーペンタリア(3歳1勝クラス)を1馬身半追走し、4角で内へ。最後まで鞍上の手が動くことはなかったが、スムーズに加速し、力強く伸びてラスト1ハロンは超抜の11秒3(5ハロン67秒7)で併入した。鞍上は「身のこなし、動きは非常に良かった。心身ともにリフレッシュしている」と極上の感触を伝えた。
成長は、正確無比なラップによって表現された。皐月賞時は4ハロンから3ハロンのラップが14秒6―14秒2とさほど上がらず、ダービー時は13秒5―14秒1といったん落とした。春は乱れを生じていたが、今回は6ハロンから16秒7―15秒5―14秒6―13秒7―12秒6―11秒3。ラップがすべてではないとはいえ、きっちりと加速的にタイムを短縮したことは、更なる高みへ上った証明だ。鞍上も「いい形で成長できている」とうなずく。
皐月賞は長くいい脚を使って差し切ったものの、ダービーは7着。対照的な結果だが、皐月賞馬は昨年のエフフォーリアなど、過去に天皇賞・秋で6勝を挙げている。同距離への短縮がプラスに働かないはずはない。木村調教師に「うちのエース」と言わしめる素質馬は、まだ底知れぬ潜在能力を秘めている。
初の古馬挑戦。うち4頭がG1ホースと立ちはだかる壁は分厚いが、鞍上は「力を出せるいい条件。改めて力のあるところを見せられたらと思う」と闘志をみなぎらせた。昨年は皐月賞を勝ったエフフォーリアが3歳馬として19年ぶりに戴冠。今年も皐月賞馬の逆襲だ。(松末 守司)
◆木村調教師に聞く
―ジオグリフの最終追い切りの動きは。
「いい意味で、春2戦の追い切りと同じ雰囲気に持ってこられたと思っている。予定通りにきた」
―7着のダービーを振り返って。
「皐月賞は能力を発揮できたが、ダービーは運がなかった部分もある。収めたいポジションに収められず、距離うんぬんというより、ためが利かない中で立ち回らなければならない状況だった」
―3冠最終戦の菊花賞ではなく、ここを使う。
「2000メートルで強い競馬をしてくれている。秋はこの2000メートルのG1を使わせてほしいと(オーナーに)提案させていただきました」
―この中間は毎週金曜日に坂路を2本上っている。
「試行錯誤している最中。同じことをやっていては、成績が落ちてしまう。ヒヤヒヤ、ドキドキしながら、チャレンジしています」