横山賀一元騎手、重賞2勝目は弟・横山典弘騎手とのマッチレース制した96年札幌3歳S 

騎手時代を振り返る横山賀一教官
騎手時代を振り返る横山賀一教官

 今夏の特別企画「夏の自由研究」の最終回は「歴史あり」で、96年の札幌3歳S(現2歳S)を制した横山賀一元騎手(56)です。

 しっかりと脳裏に焼き付いている。96年札幌3歳S。新馬戦からセイリューオーに連続騎乗となった横山賀一元騎手は、4角で強く意識した。「勝ち負けになる」。弟・典弘が騎乗するシンコウエトワールに外から並びかけると、残り100メートルからは2頭のマッチレースに。「ノリの乗った馬は全然組み立ての中になかった。ただ内側にいる馬を負かせば勝てると思った」。必死でパートナーを鼓舞し、グイッと弟の半馬身だけ前に出たところがゴールだった。

 自身2つ目の重賞タイトル。「うれしかったね。先もありそうな馬だったし楽しみだなと」。暮れにはG1・朝日杯3歳S(13着、現フューチュリティS)にも挑戦し、翌年もクラシック路線を歩むセイリューオーの確かな素質を感じ取った。

 現在はJRA競馬学校で教官として騎手の卵を預かる立場に立つ。「自分が学んできたことを伝える難しさを痛感しました。どうやって伝えるかをまず自分が勉強しないといけなかった」と苦闘の日々は続く。生徒で最も素質を感じたのは「走路馬の試験あたりから鞍はまりがいい」と思った菅原明良騎手。のちに同騎手を美浦・高木厩舎に紹介し、所属となったその後も気にかけてきた。

 今後は「女性騎手の比率も増えてくるはず」と横山氏。実戦での女性騎手の活躍を目にする一方、技術に関しては物足りない点も感じているという。「顔を見なきゃ女性だって分からないぐらい、対等に渡り合えるような女性騎手を卒業までに育てたい」。未来の競馬を担う騎手育成へ夢はまだ道半ばだ。(石行 佑介)

 ◆横山 賀一(よこやま・よしかず)1966年12月28日、茨城県生まれ。56歳。19歳でニュージーランドへ渡り騎手デビュー。5年半の間ほぼ独学で技術を学ぶ。92年に美浦・奥平真治厩舎からJRAデビュー。JRA通算3346戦211勝(うち重賞4勝)。05年11月に引退後、萱野厩舎で調教助手に。10年10月からJRA競馬学校の教官となる。父は元騎手の富雄氏。弟は現騎手の典弘で、和生、武史はおい。趣味は料理。

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