「素晴らしい人生を送れた」安田隆行調教師が涙でターフに別れ 通算1000勝届かずも「満足できる結果」

安田翔調教師(左)から花束を受け取った安田隆調教師(カメラ・岩田 大補)
安田翔調教師(左)から花束を受け取った安田隆調教師(カメラ・岩田 大補)

 安田隆行調教師(70)=栗東=が3日、思い出の詰まった小倉競馬場で涙の引退セレモニーを行った。ラストデーは、阪神2Rのタキでの1勝を上乗せし、JRA通算967勝。「自分にとって最高の競馬人生。競馬のために生まれてきて、素晴らしい人生を送れた」と胸を張った。この日は小倉競馬場で3人、中山競馬場でも中野栄治調教師(70)=美浦=ら3人と、計6人の調教師がターフに別れを告げた。

 こみ上げる熱いものをこらえきれなかった。安田隆調教師は話し始めた途端、感極まり言葉に詰まった。「まさか涙が出てくるとは思わなかった。これが最後と実感が湧いて、ジーンときましたね」。騎手時代は開催45週連続で勝利し「小倉の安田」の異名もとった特別な場所。当地での思い出のレースには「1月13日にまな弟子の川田ジョッキーと勝った愛知杯」と最後になったJRA重賞59勝目を挙げた。

 騎手として通算680勝。1991年にはトウカイテイオーで皐月賞、日本ダービーの2冠を達成した。94年の調教師転身後は、スプリント王のロードカナロアを筆頭にカレンチャンなど国内外G120勝をマーク。「短距離王国」と呼ばれた厩舎を作り上げた。

 「クラシックには届きませんでしたが、スプリントG1をたくさん取らせてもらった」。高松宮記念(24日、中京)の日には、競馬番組に出演が決定するなど、引退後も忙しい日々を過ごすことになる。海外、地方を含めた1000勝には、2勝届かなかったが「勝負の世界なので仕方ない。十分、満足できる結果でした」と最後は笑顔で締めくくった。(戸田 和彦)

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