【天皇賞(春)】フィエールマン、フェノーメノに匹敵する持久力&瞬発力をもつドゥレッツァ…大上賢一郎の見解

 【京都11R・天皇賞(春)】3000メートル以上の2つのG1、天皇賞・春と菊花賞の結果が深く結びついていることは今さら言うまでもないだろう。過去10年で、菊花賞馬が7勝を挙げ、18年は2着馬レインボーライン、昨年は3着馬ジャスティンパレスが制した。14年に連覇を達成した希代のステイヤー、フェノーメノだけが菊不出走というのが面白い。阪神施行の21、22年を除いて京都での10年に区切ると、14番人気で激走したビートブラックの12年が含まれてくるが、ビートブラックも菊花賞3着馬。淀の長丁場をこなせる素地をしっかり備えていた。

 ドゥレッツァが本命。逃げて、3番手で休憩し(ルメール談)、上がりNO1の脚で突き抜けた菊花賞は私の理想型、長年の夢がかなったレースだった。競馬を始めた頃から「前が流れてくれれば…」的コメントを目にするたび、自ら先頭に立ってペースをつくり、いったん好位に身を潜め直線一気に抜け出す、陸上競技の800メートルや1500メートルでの中距離のような戦い方が、競馬でできないものかと夢想していた。脚質の定まらない下級条件で近い形がまれにあっても、まさかG1で目撃することになろうとは。

 見た目のインパクトだけでなく、数字の裏付けも十分の一戦だった。菊花賞の勝ち時計の3分3秒1は京都施行の10年で3位。勝負どころである坂上からの残り800メートルで刻んだレースラップ46秒5は18年の46秒4(勝ち馬フィエールマン)に次ぐものだ。その流れを3番手から余裕で抜け出し、後続に3馬身半差をつけた価値は相当に高い。

 京都で行われた天皇賞・春に当てはめても、中盤が一気に緩み、究極の瞬発力勝負になった19年の46秒2(勝ち馬フィエールマン)には及ばないが、14年(勝ち馬フェノーメノ)と同タイムの2位に相当。持久力、瞬発力において天皇賞・春を連覇した2頭の超一流ステイヤーと並べても遜色はない。

 菊花賞の疲れで立ち上げが遅れた復帰戦の金鯱賞は、59キロを背負い、直線のさばきに手間取った2着。プログノーシスには内から抜けられたが、最後の伸び脚は上々で、始動戦としては合格点を与えられる。直前のうなるような追い切りを見る限り、状態は確実に一段上昇。大阪杯(ローシャムパーク2着)、皐月賞(ジャスティンミラノ1着)と、今春のG1で納得感ある騎乗が頼もしい戸崎騎手のリードでゴール前で突き抜けるシーンを描いている。

 馬連(12)―(14)(5)(10)(1)(7)(9)(16)(11)。

 ◆菊の状態に近づいた ○…昨年の菊花賞に続くG1・2勝目を目指すドゥレッツァは、レース前日の27日、滋賀・栗東トレーニングセンターのCWコースを800メートル76秒0でゆったりと周回。活気十分の走りで好ムードを漂わせた。その後、栗東を出発し午前10時13分に京都競馬場に到着した。「調子が上がってきている印象。状態の良かった菊花賞の時に近づいてきた感じ。どんな競馬をしてくれるか楽しみ」と渡瀬助手も胸を高鳴らせた。

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