【有馬記念】ドウデュース担当獣医師が衝撃告白「天皇賞・秋は帰宅部みたいな体」現在は「見事で、言うことがない」仕上がり

現役最後の追い切りに向かうドウデュース(カメラ・高橋 由二)
現役最後の追い切りに向かうドウデュース(カメラ・高橋 由二)

◆第69回有馬記念・G1(12月22日、中山競馬場・芝2500メートル)

 知識と経験、聴診器と手のひら。たったこれだけで、田中智治獣医師は、ドウデュースの状態や体のバランスを見極めてきた。体の数値と、競走馬としての成績は比例しない。「競馬は馬の能力8割、騎手の役割2割と思っていました。30年近く仕事をして、人の能力が5割と思うようになりました」と明かす。人とは、調教をつける助手のこと。「厩舎の特徴も、個々のライダーの特徴も馬に出る」と持論を述べる。

 ドウデュースの馬体は一朝一夕で完成したのではなく、担当の前川助手が日々磨き上げたもの。「前川くんは当たり優しく乗るライダーのはずなのに、彼が乗る馬はちゃんと前から後ろに一つ軸が現れるんです。なぜかお尻までスケベな感じが出るんです(笑)」とユーモアを込めて称賛した。背中の軸がぶれると、必然的にそこからつながる脚先も不安定になる。体幹が強いと、脚元の故障も少なくなるのだ。

 「天皇賞・秋のときは、不安な馬体で送り出したんです。帰宅部みたいな体でした」と衝撃の告白。しかし結果は、上がり3ハロン32秒5と驚異的な末脚を見せての完勝だった。その理由を「前川くんと(武)豊さんのタッチは合うんだろうな」と分析。無駄にエネルギーを消耗させない名手の技術が、前川助手と似ているという。

 田中獣医師は連闘推奨派。競馬場で走った後の方が、癖や特徴がはっきりと筋肉に現れ、“競馬仕様”の馬体を維持できるとの見解だ。「天皇賞・秋の後に馬体を触って、『このまますぐ乗って』と思ったんです」。通常ならレース後の数日は引き運動のみ。ドウデュースが3日後から乗り出したのは、この後押しもあった。

 有馬記念を控えたドウデュースは「見事で、言うことがない。本当に仕上がっています」。2走前の帰宅部モードとはうって変わった。「あとはファンの前で、あのキラキラした舞台で一生懸命走ってほしいです」。ドクターも、熱い声援を送っている。(水納 愛美)

ドウデュースを診察する田中獣医師(右)(手前は前川助手)
ドウデュースを診察する田中獣医師(右)(手前は前川助手)

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