20年日本ダービー3着の血を後世へ「どうしても種を残したい」39歳・JRA馬主の挑戦

デビュー前のヴェルトライゼンデと森本研太さん
デビュー前のヴェルトライゼンデと森本研太さん

◆スポーツ報知・記者コラム「両国発」

 先月13日、競走馬のネットオークションでヴェルトライゼンデという馬が、熊本県で不動産業を営むJRA馬主の森本研太さん(39)によって税別760万円で落札された。20年の日本ダービーでコントレイルの3着もある実績馬が、8歳を迎えた今年、競走馬にとって「不治の病」ともいわれる屈腱炎(くっけんえん)を再々発。所有していたサンデーレーシングの判断で乗馬になることが決まったが、森本さんの熱意が既定路線を覆し、第二の馬生=種牡馬入りへ向けて動き出した。

 森本さんと競馬の出会いは、ヴェルトライゼンデの祖父ステイゴールド。同馬は50戦目の引退レースだった01年香港ヴァーズでG1初制覇を飾った。「小さい体で負けても負けても走り続ける姿に魅せられました」。その後、決して恵まれない種牡馬生活の中で、ドリームジャーニーというG1優勝馬を送り出した。「自らつかみにいく姿が、一代で会社をやってきた人間からすると重なる部分がありますよね」と、雑草魂に強く共感した。

 ドリームジャーニー産駒の出世頭が、冒頭のヴェルトライゼンデだ。18年、森本さんは約14倍の抽選をくぐり抜け40分の1の一口馬主として出資し、出資者から選ばれる馬名の命名までかなえた。「ヴェルトのおかげでたくさんの方とご縁をいただきました。あの子がいなかったら馬主になってません」と感謝する。引退が急に決まり、種牡馬入りのための準備もできておらずバタバタしている現状だ。「どうしても種を残したい。道をつくってあげることが僕の仕事だと思ってます」。その挑戦を応援したい。(中央競馬担当・玉木 宏征)

 ◆玉木 宏征(たまき・ひろゆき) 12年3月まで東日本の競馬専門紙に在籍し、美浦トレセンで7年間取材。その後はワインの営業マンなどを経て19年に入社し、中央競馬を担当。

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