【NHKマイルC】走路監視員は「時間勝負」 25メートルの塔には階段で上り下り

東京競馬場の1コーナー奥に並ぶパトロールタワー。ダート、芝で使用する塔は異なる
東京競馬場の1コーナー奥に並ぶパトロールタワー。ダート、芝で使用する塔は異なる

◆第26回NHKマイルC・G1(5月9日・芝1600メートル、東京競馬場)

 一昨年のNHKマイルCは1番人気のグランアレグリアが直線で外側に斜行して、他馬の進路を妨害したとして4位入線も5着に降着となった。そのようなレース中の出来事をコース沿いに立つパトロールタワーからくまなく確認する走路監視員は、裁決委員が判断する材料を素早く提供する。今開催の走路監視委員(複数いる走路監視員の責任者)を務める高野稔さんは「レース中に走行妨害があるかをチェックするのが第一義です。その事象を伝えて、裁決委員が総合的にジャッジします」と主な役割を説明する。

タワーから双眼鏡をのぞく高野稔さん
タワーから双眼鏡をのぞく高野稔さん

 毎レース各コーナーに1人ずつ走路監視員は配置されて、1コーナーから直線、3コーナーから向こう正面といったように基本的には馬と正対する形で双眼鏡越しに各馬の動きに目をこらす。「向かってくる馬を見て、過ぎ去ったら今度は後ろから見て、お互いで補完しあいます。馬群が横に広がったり縦長になっても、漏れがないように」。特に目で確認した事象以外でも、馬群から何か声が上がったなど、裁決委員が映像で確認する“手がかり”となる材料も必ず伝えるという。

 ちなみに東京競馬場の場合は、1コーナーに3基のタワーが並んでいるが、それぞれダート、芝のAとB、CとDコース用と使い分けるためだ。そのため1日に約25メートルある塔の階段を上り下りしたり、前から馬群を見るため勝負服と帽色をレースごとに暗記するなど地道な苦労は多い。走路監視員として21年目となるベテランの高野さんは「ゴールインして、すぐにホットラインを取って電話をしなくちゃいけない時間勝負。経験とスキルが求められます」と語る。競馬関係者やファンを代表する目となって、公正なレースを支えている。(坂本 達洋)

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