小欄ではG1香港マイルについて血統面からアプローチしてみたい。まずは3連覇が懸かるゴールデンシックスティ。
父メダーリアドーロはサドラーズウェルズ系種牡馬。現役時はG1トラヴァーズS、G1ドンHなど米G1・3勝を挙げた。産駒からは米G1プリークネスSの覇者で2009年の米年度代表馬にも輝いたレイチェルアレクサンドラ、米G1BCターフのタリスマニックなど芝・ダート双方で一流馬を出している。
Medaglia d'Oro | El Prado 芦毛 1989 | Sadler's Wells |
Lady Capulet | ||
Cappucino Bay 鹿毛 1989 | Bailjumper | |
Dubbed In | ||
Gaudeamus 鹿毛 2004 ミスタープロスペクター系 | Distorted Humor 栗毛 1993 | フォーティナイナー |
Danzig's Beauty | ||
Leo's Lucky Lady 鹿毛 1987 | Seattle Slew | |
Konafa |
G1英1000ギニー2着の曽祖母コナファの代からは、今年のG1仏2000ギニーと米G1BCマイルを制したモダンゲームズが出るなど活力あふれる母系。欧州3歳牝馬チャンピオンのボスラシャム、2011年と2012年のG1香港カップを連覇したカリフォルニアメモリー、G1英ダービーやG1凱旋門賞など4戦全勝の名馬ラムタラと同じファミリーでもある。
昨年2着のモアザンディスは、父が英G1ミドルパークSと仏G1モルニ賞の勝ち馬ダッチアート。2018年のマブズクロス、昨年のスターマンと2頭の欧州チャンピオンスプリンターを送るなど種牡馬として成功を収めている。
Dutch Art | Medicean 栗毛 1997 | Machiavellian |
Mystic Goddess | ||
Halland Park Lass 栗毛 1999 | Spectrum | |
Palacegate Episode | ||
Striving 黒鹿毛 2005 ダンチヒ系 | Danehill Dancer 鹿毛 1993 | デインヒル |
Mira Adonde | ||
Wannabe 鹿毛 1990 | Shirley Heights | |
Propensity |
モアザンディスの父の父メディチアンは2019年1着、2020年3着アドマイヤマーズの母の父の父。父系曽祖父マキアヴェリアンは2018年2着ヴィブロスの母の父でもある。モアザンディス自身は重賞未勝利で地味な存在だが、G1における勝負強さは父方の血統によるものかもしれない。
カリフォルニアスパングルは、父がデインヒル系スタースパングルドバナー。英G1ゴールデンジュビリーSや英G1ジュライCなどG1・4勝馬で、2010年には欧州チャンピオンスプリンターに輝いた。産駒には今年の英G1プリンスオブウェールズSを制したステートオブレスト、仏G1ジャンロマネ賞のアリスティアなど芝中距離のG1ウイナーがいる。
Starspangledbanner | Choisir 栗毛 1999 | Danehill Dancer |
Great Selection | ||
Gold Anthem 栗毛 1999 | Made Of Gold | |
National Song | ||
Pearlitas Passion 鹿毛 2006 サドラーズウェルズ系 | High Chaparral 鹿毛 1999 | Sadler's Wells |
Kasora | ||
Paimpolaise | Priolo | |
Basilea |
母の父にハイシャパラルを持つのは、G1スチュワーズC(シャティン・芝1600メートル)の勝ち馬で、G1香港マイルで2016年2着、2017年3着に好走したヘレンパラゴンと同じだ。
◆成田幸穂(なりた・さちほ) 1984年8月8日、東京生まれ。(株)サラブレッド血統センター所属。週刊競馬ブック連載「海外競馬ニュース」の編集を担当。同誌のほか、研究ニュースで予想コラム「血統アカデミー」を執筆中。12月11日(日)ラジオNIKKEI第1「香港国際競走実況中継」に出演予定。